まずは、10月8日のブログ、「本物のフィンテック企業は究極の顧客本位」への橋本卓典さんのコメントをご高覧ください。
現状では、ラストワンマイル (最後の顧客接点) をマンパワーに依存する金融業務だと、金融機関がその気にならねばフィンテック企業の「究極の顧客本位の思想」は、なかなか活きて来ません。
ただ、このラストワンマイルの壁を崩すべく、(橋本さんの指摘にある通り)フィンテック企業は「顧客の感情の揺らぎ」を計測しようと絶え間なく試行錯誤を繰り返している、そのことを地域金融機関は重く受け止めねばなりません。
このフィンテックの第一人者の方は、橋本さんのコメントにある通り、「起業家をまず褒めてあげてください」と地域金融機関に対する厳しくも熱いメッセージを発しました。
実はその場にワタシもいたのですが、地域金融機関の仕事に関わるものとして衝撃的でした。
ワタシは地域において事業リスクを立ち向かっているのは起業家を含む事業者であり、担保保証への過度な依存から脱することのできない地域金融機関は、地域の事業リスクへの“傍観者”だと思っています。
傍観者はレイジーバンクです。
事業内容を十分に理解し、事業者に寄り添って伴走支援を行う労働集約型のリレーションシップバンキングを遂行しなければ、事業者とともに地域リスクを取っているとはお世辞にも言えません。
「地域とともに」という多くの地域金融機関が掲げている経営理念は単なる空手形です。
地域金融機関が“なんちゃってリレバン”でやったふりを続け、地域の事業リスクに傍観者の姿勢を続ける限り、
地域金融機関にとって最後の砦であるラストワンマイルは、「事業者をリスペクトする」フィンテック企業の怒濤の勢いに、風前の灯と言わざるを得ません。
コメント
AIで出来ないことは⁉アマゾンがどれだけ、カスタマーエクスペリエンスと言ったところで、人と人との関係性でしか満たされないものは⁉
私は現代は、人間性回帰の時代であり、共感資本の時代だと感じています。メガテックごときに飛ばされない関係性資本を育てているか?むしろ、メガテックを道具として使いこなすくらいの、人と人との関係性が構築出来ているかが問われているように思います。
テクノロジーの進化は、逆に、人にしか出来ないことの尊厳を示してくれているように感じています。
新田さんの見解、ご尤もに存じます!
テクニカルな道具は所詮、無機質な事務処理レベルの効率化に有効な代物に過ぎず、まさに画一化の象徴かと存じます!
多様性がもたらす個々の信頼関係を基本とする人と人の関わりに応用はできないのではと理解しております!
新田さま、増田さま、仰るとおりだと思います。
誠心誠意のお手伝いに対し、お客様から、心からの『ありがとう』を言って頂いた経験がある若い担当者が、その後どれだけ自律自走する能力が高まるか目の前で経験しています。人と人との関わり、心と心の繋がりこそが若者の成長を促すと信じています。
単純な欲求(安くしろ、量を増やせ)に対する満足は持続しません。直ぐに他者に越えられます。お客様の本当の『お困り』に対してお応えするからこそ、顧客幸福と当方側の社員幸福が生まれるのではないかと。
インスピレーションは新田さんのご発言にありました。
「経営者は優先順位を見定められないとダメだ」
無論、経営理念に裏打ちされたものなのですが、優先順位というのは刺さります。
多くの地域金融機関のトップは、「三方よし」と言いながら、まず「おのれ事(売り手よし)」から入ります。そして、エネルギーのほとんどが、「おのれ事」に割かれます。
APIもフィンテックもですが、「それって、ウチにどういうメリットがあるの?」が、第一声でしょう。
とんでもない勘違いです。
多胡さんご指摘の通り、フィンテックで成功している最先端企業は、まず「おのれ事」から入るのではなく、「お客様事」から入ります。その上で、サービス自体が原価割れしていないか、自分たちの損益にどのような影響をもたらすかを時間軸を踏まえて、判断しているように思えます。
「山猿」さんのご指摘の通り、「お客様の本当の『お困り』に対してお応えするからこそ」が、何よりも優先されねばなりません。
TAKE&GIVEなんて言葉は存在しません。GIVE&TAKEです。たとえ、人と人が相接しても、肝心の「順番」を間違えては、容易にフィンテック以下の存在に成り下がります。肝要は、優先順位です。
金融庁日下さんが過日の講演で、「地域金融機関のやるべきことは、議論の余地無く『共通価値の創造』。そのやり方においては、コスト・リターンのポートフォリオ戦略が必要だ」と、おっしゃっていましたが、私も同じ問題意識です。
問答無用の大前提、最優先課題が「共通価値の創造」です。コスト・リターンに見合わないから「やりません」という選択肢はありません。地域金融機関という存在理由をかけて、やらねばなりません。
その次に、「やり方」におけるコスト・リターンです。地域において、競合関係において、お客様の特性において、それは過剰なのか、最適なのか、あまりにもコストを度外視したものなのか、諸々考えようがあるよね、という話です。
日下さんがおっしゃっていることも、解釈によっては、優先順位です。