サブスク

昨今、注目度の高いサブスク。

顧客から見ると「所有から利用」への行動変化ですが、商品サービスを提供する側からすれば、売り切り型のモノ売りからの脱皮が求められることになります。

地域金融機関の視点に立てば、プロダクトアウトのトラバンモデルと対極にあるのがサブスクといえるでしょう。

フィデューシャリーデューティーのもとでの個人金融業務は、トラバンモデルは収益の柱となりません。デジタライゼーションの加速により、もはや金融機関のコスト構造で利益を出すことは困難です。

金融商品サービスだけに限定せず (もちろん行法の範囲内ですが)、サブスクの概念を導入することで、個人金融業務の収益機会が期待できるものなのか。

さらに中小小規模企業との取引でのサブスクにはどのような可能性があるか?

来週の某地域金融機関の幹部との意見交換会に向けて、準備中です。

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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    私は講演で、これを申し上げています。

    ただし、課金型収益モデル(おのれ事最優先)から入ってはNGです。サブスクは長期継続利用が大前提ですから、お客様が「面倒だけどやらなければいけない事」から解放して、本当に大切なことに時間、空間、人手を集中する環境をつくって差し上げることが本質です。敢えて申し上げますが「三方よし」という同時両立ではなく、プロセス・手順・優先順位として「買い手よし」から明確に入らなくてはなりません。故に顧客本位など、金融庁から言われるまでもなく当たり前の最優先事項です。自分だけよければよいという「あざとさ」は理念だけでなく、現実として禁物です。優先順位を誤ると、とんでもない事態に展開します。

    「買い手よし」が認められてこそ、「売り手よし」が成立します。つまりはノルマ&モノ売り&ワンショット&お願い・懇願営業(→こんなことをやるために銀行に入ったの???)からの脱却と安定した収益基盤です。「買い手よし」が崩れれば、「売り手よし」などすぐに吹き飛びます。

    そうなると、営業、営業経費、人事は、旧来モデルとはまったく意味合いを変えます。営業も営業経費も「長期継続利用」のために投下されるものであり、ノルマ押しつけのために投下されるのではありません。見た目には同じ額でも営業経費の使い方が違うのです。人事評価も、ノルマをどれだけ従順にこなしたのかという機械人間評価ではなく、長期継続利用実績が重要になります。

    さらに、私は預貸も意味合いを変えると思っています。長短金利差が崩壊して、規模は役に立たないのに合併を推進する昨今ですが(笑)、そもそもなぜ、担保保証の預貸が重要だったのかを振りかえる必要があります。それは、「貸した金は貸せ」ということは、もちろんですが、それ以上に「預貸ビジネスによる収益が銀行の根幹」だったからです。それが成り立たないから、預かり資産で銀行員の給与を稼ぎ出してきました。それももう終わりです。メガバンクも人切りだけでなく、給与カットに進みます。次の段階には、人員を伴う規模拡大は正しかったのかという考察に至るはずです。

    サブスク時代は、預貸はビジネス的意味合いは薄れ、サブスクを継続利用していただくために、資金ショートなど不慮の事故がないための「健康診断」的な意味合いに転換していくと思っています。となると、「担保保証で保全されているから、まあいいや」という結論は、サブスク時代には許されません。サブスク時代は、お客様と一蓮托生になるということです。

    「担保保証に頼らない取引」とは、ここまで進化してこそ、真に成立するものだと思います。

  2. 東北の銀行員 より:

    先日、本業支援中の顧客企業にあるサービスのサブスクリプションを提案しました。

    当該企業の社長曰く「導入するとしたら、サブスク→即収益ではなく顧客に勧めたい他のサービスへの足掛かり、そして信頼関係の強化が目的になるでしょう。最初はむしろ赤字覚悟ですね。」とのこと。

    優先順位と時間軸、サブスクの本質を理解した回答だと思いました。

    「三方よし」口で言うのは簡単です。
    是非、取り組んでおられる地域金融機関には「優先順位と時間軸」を十分に考慮頂きたいものです。