10年務めた金融機能強化法の審査委員、このたび任期満了となりました。
国民の税金である公的資金が、地域金融機関の金融仲介機能を強化し、それが地域のためになるかどうか、を確認する仕事には重い責任があり、いまは肩の荷が降りてホッとしています。
現在、13の地域銀行が金融機能強化法の公的資金で資本強化をしていますが、この10年間で各行の経営計画書の中身は格段とレベルアップしました。
かつては、「これが機能強化法 (銀行が地域企業に対しリスクマネーを出すための資本充実)の計画なのか、早期健全化法 (銀行自身のための資本充実) の計画じゃないの?」というようなツッコミどころ満載の計画書が多かったのですが、今や計画書の内容には文句をつけるところはほとんどありません。
あとはそれをいかに実行するかです。
ここは金融庁の監督サイドにしっかりとフォローをお願いします。
コメント
長い間、本当にお疲れ様でした。多胡先生がおっしゃるように計画書自体は素晴らしい出来栄えです。あとは、実践のみです。多胡先生におかれましても、これからずっと第一線で活躍されることをお祈り申し上げます。
利益剰余金を速やかに貯めて、早く弁済する趣旨の早期健全化法の延長線上でありながら、地域経済活性化(自行のためではなく、地元のために)という、簡単に利益剰余金蓄積(縦軸)に逆行しかねない趣旨を備えた金融機能強化法において、旅芸人こと多胡委員の10年にわたるご尽力は頭が下がるものでした。
縦軸に対して、地域経済活性化に資する持続可能なビジネスモデルの構築(横軸)推進を以て、早期健全化法との違いを強く意識させ、横軸には後に健全化基本方針で具体化したリスクテイクやリレバンでの実効性のある取組みの重要性を主張しておられました。
コア業務純益・経営改善支援先数など金融機能強化法定のKPIが、横軸進捗をフォローするに足りない指標であったことは事実。横軸に関わるKPIは、本来縦軸の指標とは無相関もしくは負の相関がなければならないと考えます。ゼロサムゲームであるファイナンスでは、地域経済活性化と自行の収益性向上にトレードオフが生じるのはあたりまえの事。その上で縦軸KPI進捗とのバランスを考えるべきです。
その横軸に関わるKPIは計画内容がレベルアップした今なお、安易な縦軸もどき(プロダクトアウトでトラバンやなんちゃってリレバンの契約をとってくるプロセスやコスト削減の評価)のものが多いように思えます。そういう意味では、任期満了は志半ばであったと思いますが・・・。旅芸人さん、いかがですか?
金融機能強化審査会の10年間、大変お疲れ様でした。
審査会議事録での多胡さんの切れ味鋭いツッコミも痛快でした(笑)。
確かに拝見する限り、どの銀行も計画自体は素晴らしいものです(稀に「?」もありすが)。
しかし、以前コメントさせていただきました通り公的資金導入行の状況については、計画の履行に対し「実質的」に真摯に取り組んでおられる銀行と未だに計画を「形式的」にクリアしようとしている銀行があるように感じました。
先日、当局要職の方に「審査会は喉元過ぎれば何とやらになっておりませんか?」と言われてしまいましたが、そうならぬように地域に対する覚悟と責任を持って実行することが大事ですね。
私も引き続き地域の為に邁進して参りますので、今後もご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。
八代さん、
コメントありがとうございます。
任期、これって形式ですよね。
「形式から実質へ」、まだまだです。
そういえば某地銀の社外取締役も10年で区切りがいいとかで、任期? 満了になりましたなぁ、、、
パラレルワールドを語れませんが、「縦軸だけ」で突っ走っていたら、中小企業はもっと大変なことになっていただろうと想像できます。後任の方々が「計測しやすい世界に逃げ込んで、閉じこもらないように」と、切に願います。地域のことは地域の方々にお話をうかがうのが一番です。切り取った数字は、文字通り、「切り取った世界だけの物語」で、それを地域の真実、ましてや日本全国の地域を網羅できる神話とするのは、ファンタジーです。その意味で、新田さんが地域金融の目的について「幸せをつくることです」と指摘するのは、正鵠を射ているのです。