「企業支援・再生は一丁目一番地だと思います。でも軽視されているように思えてなりません。」
地域金融の最前線で、中小小規模事業者の経営改善支援や事業再生に関わってきた再生屋 X氏から年末に届いたメッセージです。
真摯に経営改善支援/事業再生に取り組む地域金融機関は間違いなく「顧客本位の金融機関」であり、顧客から選ばれる金融機関です。
一方、地元事業者の苦戦を見ても傍観者的態度を取り続け、業況が悪くなったらさっさと融資の回収に入るような「自己中心の金融機関」は、地域顧客から総スカンになり、いずれ地元で預金も集まらなくなるでしょう。
経営改善支援や事業再生を経験した再生屋たちは金融機関にとって貴重な財産です。
この業務に携わったことのある金融マンは、
「顧客が真実を語り始めるときが経営改善支援/事業再生のスタート。そこに至るまでの信頼関係の構築が大変だ。」
と口を揃えます。
彼らは人間性の面からも卓越していて魅力的です。
しかるに経営陣のこの業務への理解が低い金融機関では、企画部門やプロダクトアウトの営業部門だけが脚光を浴び、再生屋には専門職としてのキャリアパスしか用意されていません。
再生屋の処遇は金融機関のリレバンの本気度を示すバロメーターなのですが、経営陣にその意識が欠けていることに憤りを感じずにいられません。
景況感の厳しい中で廃業の嵐。もはや待ったなしの状況で再生屋たちに表舞台に出てもらわねばなりません。2020年は再生屋の年です。
このような認識のもとで、本年1月18日に「再生屋シンポジウム」を松江市で行うことになりました。
主催は28年間にわたる組織的な企業再生実績を有する島根県信用保証協会ですが、おかげさまで満員御礼。
島根県の後続もあるようですので、乞うご期待。
もちろんワタシはすべてに参加するつもりです。
コメント
本年もどうぞよろしくお願い致します。
「再生屋シンポジウム」の主催であられます島根県信用保証協会さまの28年間の組織的な企業再生実績と「再生分野」におけるこのようなシンポジウムの開催に対して深く敬意を表します。
島根県信用保証協会さまの素晴らしい組織的な行動はまさにファーストペンギンであり、シンポジウムを通じて多くの「再生屋」が誕生する機会となるように感じます。
島根県から全国に「再生屋」の狼煙を上げましょう!
今から20年も前になるでしょうか、某財団法人(当時)主催の人事関係の研究会に招かれ、母体行の再生支援の取組について講演したことがあります。
その時、再生支援に時組むには何が必要か?との問いに次のように応えました。
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ひとつには、独断専行との批判を恐れない覚悟を持った人材と、この分野に取り組む職員に対する特段の人事的配慮である。
特に中小企業再生支援の現場では、状況は常時変化しているうえに、債務者企業の社長は金融機関に対し警戒感を持っている。よって、現場の状況によっては、多少銀行の流儀と違っても即断即決で方向性を決め、信頼関係を築くことが求められる場合もある。よって状況によってはその場で決断し、その決断を貫く強さが必要となる。たとえ独断専行と批判を浴びることになっても、あえて受けて立つ気概を持った者でないと務まらない。
さらに、今の業績に直結する業務ではないうえに成果が見えにくい。よって成果主義の考課体系から切り離し彼等を評価する体制の構築が必要となる。
・・・・
残念ながら、その後20年。「喉元過ぎれば熱さ忘れる」を地で行った金融機関が多いようです。こうした人材をしっかり処遇してきた金融機関は、再び選ばれる金融機関となる道が開かれるのだと思います。
時組む⇒取り組む
失礼しました。