入院/リハビリ生活以前のように、全国を飛び回って膝詰めで話すことはできなくなりましたが、いまでも地域銀行から中期経営計画に関する相談を受けることが少なからずあります。
「今までの延長線上の計画ではダメだ」との掛け声はあるものの、現在のやり方を起点にした「回顧から展望」の議論が行われていることは否めません。
「これまでの延長線上で考えるのではなく、未来からバックキャストして考えるべき。そこで有効なのは“経営デザインシート”だ。」
内閣府の “知財のビジネス価値評価検討タスクフォース” のメンバーの1人、金融庁の参与である森俊彦さんが教えてくれました。
この「経営デザインシート」、企業での導入例はありますが、金融機関の事例はないようです。
地域金融機関が取引先企業のために活用した例があるようですが、まずは当該金融機関自身のためになぜ使わないのか?
失礼ながら、その地域金融機関の将来に向けての戦略が理解し難いので、一言余計なことを書いてしまいました。
コメント
この数年間で地域金融の分野でもパラダイムシフトが進みました。
もはや既存戦術の焼き直し程度では通用せず、大胆な発想と戦略の転換が必要だと思うのですが、未だに保守的でブレのない(悪い意味です)金融機関が数多く存在することに驚愕します。
見方を変えれば、或いは敢えて保守的なアプローチを貫き通すことにより競合の市場撤退を待つ、所謂「残存ニッチ」を狙っているのではと勘ぐりたくもなりますが、それはそれで体力勝負の世界であり小規模金融機関は真っ先に淘汰されることになるでしょう。
まずは自行の戦略を無責任コンサルティング会社などに丸投げせず、経営者自身で自行の事業性評価を行ってみては如何でしょうか。
既に私は実施しましたが(笑)
この考え方は「捨て銀3」でもご紹介した、「fail fast」(事前検死)と似ています。もっとも、10年後に「捨てられた」という認めたくない前提を未来に置いて、「どうしてこんなことになっちゃったのか」を逆算しながら、これから未来に向けて講じる手を考えるアプローチです。医療では「術前会議」があり、執刀医の医学部教授に格下の麻酔医が怒られるとの心理的不安から必要な確認を行わないことによる医療事故を防ぐ狙いがあります。機長に対して、心理的不安から残量燃料を何度も確認できない航空機関士も同様です。英国の自転車チームがツール・ド・フランスで優勝できた背景には、このアプローチがありました。「捨て銀」というネーミングの由来。