昨夕の麻生大臣の記者会見での「民間金融機関に対し、貸し出しの金利を下げ、返済期間を猶予するなどの条件の変更を求める」
https://www.fsa.go.jp/common/conference/danwa/20200306.html
との要請を見ての感想です。
リーマンショックを上回るであろう暴風雨経済の中で金融機関サイドが果たして真の意味で対応するのか、できるのか。
もちろん必ずやってもらわないと困るのですが、リーマンショックのときと比べると地域金融機関の体力はガタ落ちとなっており、目先の利益を追うがために安易なビジネスモデルを選択、ますます短期志向となり、顧客との距離が広がり、顧客との信頼関係が脆弱化しているという現状を見ると、絶望的な思いしかありません。
このたび拡充された信用保証制度についても、金融機関サイドは“全額保証”のセーフティネット保証4号にだけ熱心というレイジーぶりをすでに露呈しています。
円滑化法的な施策で、資金をつなぐことはできても、地域金融機関の経営改善/事業再生の支援能力はお寒いものがあり、自力で本業を立て直す力のある中小小規模事業者は良いとしても、そうではない多くの事業者にとって復活への道は長いと言わざるをえません。
日本政策金融公庫のセーフティーネット貸付への事業者側からの期待は大きいものがありますが、資金を出すことに力点のある政府系金融機関に経営改善支援を望むことはできません。
結局のところ大臣の談話の通り、地域金融機関に「地域が崩壊すればブーメランのように自らに返ってくる」との危機感を持って頑張ってもらうしかないのですが、それができる地域金融機関の数は遺憾ながら限られていると言わざるをえません。
それができない地域金融機関は、
①金融機能強化法による資本充実と、
②危機に立ち向かい真の意味で顧客本位の経営ができる経営トップとガバナンスの確立、
が不可欠です。
コメント
7日には政府系金融機関で中小企業の無利息・無担保の資金繰り支援融資を始めると総理大臣から発表がありました。地域への安定的な資金供給は、民業圧迫批判覚悟で国がやろうようですね。セーフティネット保証は利息も保証料もかかるので、中小企業側からはこの融資を利用してからの選択肢となるでしょう。
もうコロナ経済危機での地域金融機関のファイナンス支援は、既存融資の条件変更くらいしかありません。コロナ経済危機で崩壊した商流の再構築支援などファイナンス以外の支援くらいしか、地域金融機関に残された役割はないんじゃないでしょうか。
今回の危機対応は正に一刻を争う事態であり、無利子・無担保融資のような手厚い支援策は当然に国が主導して行うべきものと思います。
地域金融機関として出来ることは限られるのかも知れませんが、私個人としては「顧客本位の本業支援」を粛々と継続することが地域に対する最大の支援策だと信じております(結果として時に適正金利融資は発生しますが)。