「与信コストが増えて、自己資本比率が下がってもある程度はしょうがない。当行は自己資本が厚い。これまで(自己資本を)何に使うのかとの指摘もあったが、まさに今がそのタイミングだ。与信コストが増えてもやむを得ないという覚悟で、地域経済を守っていく。」
本日の日経長野版、八十二銀行 湯本頭取のインタビュー記事です。
「今こそ資本の使いどころ」
地域金融機関トップのこういうメッセージを首を長くして待っていました。
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ひとつ気になったのは、この発言の前に以下のフレーズがあったことです。
「飲食業や宿泊業から始まって、今では幅広い業種から資金が足りないという声が出ている。中長期の資金も必要だが、目先の100万円が足りなくて困っている企業も多い。そこで、10日から(低利子・無担保・無保証で)最大500万円を即日にも貸し出せる商品を用意した。引き合いも強く、資金需要の強さを改めて認識している。与信判断はある程度、度外視して貸し出している。同商品は資金が戻ってこずにロスになることも前提にしている。」(同記事より)
あくまでもワタシの印象ですが、ここで頭取が言及する無担保無保証でスピードを重視した融資商品(最大500万円)の借り手の大多数は日本政策金融公庫の窓口に殺到している層と考えられます。
今月初、八十二銀行がこの商品を発表したとき、日本政策金融公庫がパンクしているのを見て、地域トップバンクとして、「義を見て為ざるは勇なきなり」とばかり、行動を起こしたと感じました。
これも拍手‼️
長野県は全国有数の確固たる協同組織金融機関のネットワークがあり、トップ地銀と協同組織金融機関との間で良い意味での棲み分けができていると思います。
未曾有の危機を迎え、公的金融、協同組織金融機関に加え、トップバンクも加わって、小規模事業者や個人事業主の喫緊の資金繰りを支えるというのは素晴らしい連携です。
さて、
冒頭の「今こそ資本の使いどころ」という話です。
八十二銀行の頭取さんは、インタビューの中で話したものと推測するのですが、八十二銀行のような地域トップバンクの「資本の使いどころ」は、小規模/個人事業主以上に、地元の核になる中堅中小企業に対してだと思います。そんなことは先刻ご承知でしょうが、老婆心ながらひと言触れさせてもらいます。
地域金融エコシステムの観点からも、ここは重要なところです。
★追伸:
本稿を読まれた方は、こちらの方も是非。