🚩公的資金による中小企業の資本対策

「8~9月をメドに『中小企業経営力強化支援ファンド』を設立する。6月に提出する第2次補正予算案で500億円規模を計上する方向だ。中小企業基盤整備機構がファンドに出資し、民間金融機関からも出資を募る。新型コロナの感染拡大の第2波にも備え、継続的な支援を進める。」

5月20日の日経電子版「中小企業にも資本注入~数百社に500億円規模 」の中にある一節です。

中小企業の資金繰り支援に続く、政府による資本注入ですが、これは地方のインフラを支える交通機関や大きな雇用を抱え、商流のハブとなる地方百貨店などを想定したものだと思います。

それ以外の大多数の中小小規模事業者のバランスシート対策は、エクイティというよりも、恒常的に行われる擬似エクイティの短期継続融資や資本性融資(業績連動)というのが実態に即しています。

そもそも資本性融資は日本政策金融公庫の特許商品ではありません。民間がなぜやらないかといえばリスクウエートが大きい、リスク資産を増やしたくないからと考えられます。

その反面、取引先のバランスシートリスクを取らないで、リスクの計測やモニタリング方法に限界がある有価証券投資で身の丈を超えたリスクを取っていることは理解できません。それで当期利益以上の損失を出して責任を取ろうとしない。何をか言わんやです。

コロナ禍の施策としては、擬似エクイティ融資や資本性融資への公的サポート(信用保証制度)の拡充というのが現実的ではないでしょうか。

本稿に関連しますが、

政府による中小企業への資本注入に関し、八代さんが論考をホームページにアップしました。

http://www.yatsushiro.co.jp

ご高覧ください。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメント

  1. 増田寿幸 より:

    さすが八代さん、今回の論考も冴えわたっています。大部分の基礎疾患のある零細企業へのエクイテイ支援が無謀極まりない蛮行となりかねないのを承知のうえでの議論なのかとの指摘はまったく正しい。ただ、現下の事態は、この議論を避けて通ることができないことも事実です。そこで、私は、星野リゾートの旅館ファンドに問題解決の方途が見えるように考えています。地域金融機関が星野方式を手本にできないかと。

  2. 高見守久 より:

    私は多胡先生やコメントされておられる学識のある方々と違って、高卒かつ信金資産査定管理部門において長年勤務してきました。それ以前は営業店で融資担当などに従事し、その当時のお客様と今でも繋がり、情報交換しています。その友人でもある中小零細事業者多くが個人事業者ですが、たとえ無利子無担保融資(いわゆるゼロゼロ融資)でされ、元金を返済し続けることにもなり、借りたくないとはっきり言われています。また、新型コロナウィルスの感染拡大以前に店舗改修資金の借入を計画しましたが、この新型コロナウィルス感染禍により中断しました。地方で幸いにも自己所有の店舗ならば、個人事業者で100万円、中小法人で200万円の「持続化給付金」を一日でも早く振り込んでもらうことです。家賃補助では、事業用借地権で借地料を支払っておられる飲食店主もみえます。政府ではハイブリッド方式と言われるが、一旦金融機関から家賃分を借り入れて、政府からの補助で相殺するとしていますが、その必要のない事業者がいることも承知しておくべきです。つまり、政府は新型コロナウィルス感染症対策で不要不急の外出自粛は唱えられましたが、インフラの役割を果たすべき金融機関の営業店窓口は交代勤務で開けています。しかしながら、営業店の支店長、副支店長および次長などはオペ処理できないのがほとんで、精々電話番程度であると考えます。そうであれば、お取引先の都合の良い時間帯に電話などにより、資金繰りなど困ったことがないかどうかヒアリングして、その情報収集結果を本部や経営陣に逐次報告し、当該金融機関によりお客様への経営支援策を検討すべきです。金融庁も新型コロナウィルス感染症の影響を踏まえた金融機関の対応事例で良い事例ばかり発出されていますが、たまには悪い事例や金融機関に再考を促した事例も掲げ、特別検査に立入った際の検査結果事例集も公表すべきです。私自身も現職中は検査結果事例集で自金融機関と同じような事例があったには肝をつぶしたものです。いま、金融機関の経営陣は、差し迫った危機感がないのではないかと推察されます。余りにも、発信力や実行力のない金融機関の経営陣が多すぎます。そのような下らない経営陣は早めに淘汰されるべきです。金融庁や財務局に対して、立入検査を強化していただきたい。