6日のブログで、地域金融機関のポジティブ・インパクト・ファイナンスについての独自の考えを書いてみましたが、橋本卓典さんからはネガティブ・インパクト・ファイナンスの問題提起をいただきました。
文中で、国連環境計画・金融イニシアティブの定めた金融機関向け指針に基づく世界第一号案件となった三井住友信託銀行の事例や、国際的な認証機関の第三者評価に基づくというメガバンク初の三井住友銀行のケースを上げました。
これらは借り手自身のSDGsの「取り組み姿勢に着眼」したものです。
誤解を恐れずに言えば、これらの借り手は倒産や廃業と常に直面するような事業者とは思えず、コロナ禍においてもそのような切迫感があるとは考えられません。
一方、地域金融機関の主たる取引先である中小小規模事業者の中にはコロナウイルスの影響で存亡の危機に追い込まれているところが少なからずあり、こういう事業者の存続を支援していくことこそがポジティブ・インパクト・ファイナンスではないでしょうか。
今までの世間一般の議論において、ポジティブ・インパクト・ファイナンスの着眼点は借り手の「SDGsへの取り組み姿勢」にあるようですが、中小小規模事業者に対するポジティブ・インパクト・ファイナンスは借り手のSDGsの取り組み姿勢以上に、金融機関の「融資姿勢そのもの」にあると考えます。
経営改善支援、事業再生支援はポジティブ・インパクト・ファイナンスそのものですし、借り手の業況が悪化したら問答無用で貸付債権の取立て回収に入るような融資姿勢はネガティブ・インパクト・ファイナンスです。