🚩地域金融エコシステムにおけるリーダーシップは?

日経フィナンシャル、「リアル地域金融~1県1行の近未来」の読後感です。

和歌山市に本店を構える県内唯一の銀行、紀陽銀行の話ですが、上中下のうち、とくに下が読み応えがありました。

実は紀陽銀行とは金融機能強化法の公的資金を入れていた折に接点があったのですが、全額返済後?に同行のビジネスモデルが大きく変わったことに驚きを隠すことができません。

~貸出金残高が3000万円以上か、預金と預かり資産残高の合計が5000万円以上の約9000社を「コアカスタマー」と定義。この優良顧客が事業性の全取引先数に占める割合は4%にすぎないが、事業性の収益ベースでは8割を握る。「主要な顧客を見える化し、そこに戦力を集中配分する一方でコアカスタマーをさらに増やしていく」(「下」のパート本文より)

コアカスタマーに戦力を集中投入するというのは経済合理性に大きく傾斜した思想であり、メガバンクや西の方の地銀Xと酷似しています。

地銀Xは県外資本(地元顧客や地方公共団体なども県外資本化を後押しした)であり、コアカスタマーに注力というのは想定内です。

それに対し(外野がとやかくいうことではないのですが)、存亡が問われる厳しい時期に地元企業に資本面でサポートしてもらった経緯のある紀陽銀行が、このような戦略をとることにワタシは強い違和感を感じます。

さらに言えば、紀陽銀行のような地域トップバンクには、地域金融エコシステムのリーダーとしての行動が求められますが、紀陽銀行の経営陣にはそのような自覚が果たしてあるのでしょうか。

トップバンクがこのような姿勢であるならば、他の金融機関が奮起するしかなく、和歌山は1県1行なので信用金庫の頑張りにかかっています。

全国を見渡すと、地元トップバンクと互角以上の戦いを演じている信用金庫は少なくありません(ワタシは当事者としてそれを実感しています)。

きのくに信用金庫(本店和歌山市)への期待大です。

紀州55万石の和歌山城、2013/2/16

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