9月24日の旅芸人ブログ「構造改革(リストラ)ではなく意識改革」では、
JAL再生についての大田嘉仁さんのインタビュー記事(ダイヤモンドオンライン)が、地域金融機関の変革に示唆するところが多いと書きましたが、
その中に以下のような企業風土・企業文化についての言及がありました。
「人が悪いんじゃなくて、社風が悪かったんです。しかも、徹底した上意下達で、下が上を批判するなんて絶対ダメ。教わったことを否定するなんて、非常識極まりないこととされていたような組織でしたから。こういう悪しき企業カルチャーが、そのまま下に受け継がれていかざるを得ないような仕組みだったんですよ。」
かつて、地域金融機関における企業風土・企業文化の問題が、金融庁の「金融仲介の改善に向けた検討会議」において俎上に上がっています。
当会議の第5回(2016/6/27)の議題の一つは、金融仲介機能に関わるベンチマークでしたが、
https://www.fsa.go.jp/singi/kinyuchukai/siryou/20160627.html
議事内容の項目を見ると、会議メンバーが以下の提言をしていることがわかります。
「将来の課題としての企業風土・企業文化については、項目(指標)のとり方次第で金融機関の行動も変ってくると思うので、従業員の満足度などがベンチマークになることを期待している。」
ベンチマークの議論は「金融仲介機能」にフォーカスされましたが、検討段階では、それに加えて「資産形成機能」、「リスク・リターン」の三本柱でした。
そして3つのベンチマークの項目の土台にあるのが企業風土・企業文化であり、こちらについてもベンチマークを導入すべきではないか、との議論もあったわけです(当時のワタシのメモを添付します)。
企業風土・企業文化のベンチマークの例として、「従業員の定着率」、「従業員の満足度」、「コンダクトリスク」などが挙げられていました。
ベンチマークの議論が企業風土・企業文化のところまで広がらなかったことは残念と言わざるを得ません。
今からでも遅くないのでは、、、
コメント
多胡さんがご指摘される企業風土のベンチマークは、今から思えばミニマムスタンダードであり、さらに時代は進んでおり、社外活動、勉強会、ネットワークへの参画という地域に身を投じて、社内だけでは得られない成長機会に向き合っているか、もはや常識なんじゃないでしょうか?あとは、リカレント教育です。中間管理職、幹部、役員は生徒になって学んでいるでしょうか。組織論では、これも当たり前です。金融機関は、日本を代表する企業と比べると、遥かに遅れているような気がします。
確かに意識改革は重要です。可塑性に富む若い人達に、より自由で多様な発想を期待するのは大いにありです。彼らによって次の世代の組織は形作られていくのだから。
しかし、一方で「他人を変えることはできない」のも事実だと思います。全てがそうではありませんが、今までのやり方に染まって離れられない人、党派性にコミットして後戻りできないところまで行った人達に、如何に意識改革を唱えたところで馬耳東風です。
組織改革に当たって、この点は抑えていないと足元を掬われかねないように思えます。