本日の日経Deep Insight「企業は考え抜けるのか」(梶原誠コメンテーター)は、時間の余裕がある土曜日の朝、じっくり読むに値する論稿です。
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20220122&ng=DGKKZO79430890R20C22A1TCR000
移行先の株式市場を企業が公表し始めた昨年9月から年末まで、東証株価指数(TOPIX)が2%上昇するなかで、「50%以上株高になった1部銘柄は34。このうちスタンダードを選んだのが9銘柄と、3割弱を占めた。スタンダードに行く銘柄数は1部全体の16%にすぎず、存在感がある。」(本文より)
というのには驚かされます。
コストと上場メリットを秤にかけてスタンダードを選択したり、上場の意義が薄れたと判断して上場廃止に踏み切ったりする企業を、考えた末の経営判断と評価しています。
~市場再編を機に自らの将来像を考え抜いた結果で、成長への下敷きになる。ならば、スタンダード市場への移行は格落ちではなく進化だ。(本文より)
その一方で、
「新たな上場基準にひも付くコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)への対応にワナはある。「守ればことたれり」という発想が企業に根付く恐れだ。」(本文より)
と警鐘を鳴らしています。
理由は、コーポレートガバナンスコード(指針)に従う必要のない「コンプライ・オア・エクスプレイン(従うか、説明を)」があるにもかかわらず、
~東証の「コーポレート・ガバナンス白書」によると、時価総額が5000億円以上の企業の99%が指針の90%以上に従っている。にじむのは、「波風を立てたくない」という企業の本音だ。」(本文より)
この風潮を後押しするのは、本来は企業に対話を迫るべき投資家、との指摘には大いに共感します。
~指針に従わないだけで、株主総会で取締役の選任に反対する構えの機関投資家が目立つ。これでは企業が、陳腐化していく指針にただ従うだけだ。(本文より)