昨今、地域金融機関の経営者や幹部からは「コンサルティング」の大合唱。
コンサルティングをフィー・ビジネスととらえ、収益の柱にしようとの意気込みです。
金融機関によってはコンサルティングに業態変更だ、との踏み込んだメッセージも出てきます。
ところで、
ワタシは地域金融機関にとって、投資銀行のようなバランスシートを極力使わないフィービジネスは難しいと思っています。
フィーだけを狙っていく狩猟民族型の投資業務は、バランスシートの使用を極力抑えようとするので、ROE/ROA経営に資するところは大きいのですが(株主は喜ぶ)、地域経済・社会を面的に持続的に支える使命のある地域金融機関には、まったく適合性がありません。
融資というバランスシートを使った日常業務での顧客接点をベースに、信頼感/リレーションシップ・キャピタルを粛々と積み上げる農耕民族の本分を尽くし、資金繰り支援を越えた顧客の事業面でのニーズにも対応するのが地域金融機関です。
この事業面でのニーズへの対応の中に含まれるのが、コンサルティングや投資銀行業務的なフィービジネスなのですが、忘れてはならないことがあります。
2003年、リレーションシップバンキングのあり方の議論の中で、預金取扱金融機関のコンサルティング業務や本業支援業務への扉が開くことになったのですが、そこではコンサルティング業務などの優越的地位の濫用による (手数料目的の) 強要は禁じ手であると明記されています。
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《金融機関が、リレーションシップバンキングの機能の一環として行うコンサルティング業務等取引先への支援業務が付随業務に該当することを明確化するとともに、その際、中小企業等顧客保護や法令等遵守の観点から図るべき態勢整備の内容を規定した。(中略)なお、実施にあたっては、顧客保護や法令等遵守の観点から、以下の点について態勢整備が図られている必要があることに留意すること。
⑴ 優越的地位の濫用として独占禁止法上問題となる行為の発生防止等法令等の厳正な遵守に向けた態勢整備が行われているか。》
(2003年6月30日の金融庁の事務ガイドラインより)
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最近、「コンサルティング契約を融資条件にする」ような(暗黙なプレッシャーも含む)、地域銀行によるふとどきな所業が、ちょくちょくワタシの耳にも入ってきています。
こんな現場を放置する、どこぞの懲りないレイジーバンク。
「顧客本位」「顧客との共通価値の創造」は何処へ、、、
コメント
この議論、多胡さんは繰り返し論じられていますが、地域金融のガバナンスを巡って、中核的な論点だと感じています。
これは組織的なガバナンスから、勤務する労働者の雇用形態にまで論が及びそうな気がします。
正直、私も煩悶しています。