ゾンビ企業という言葉がメディア報道で出始めたのは20年前、金融再生プログラム(2002/10/30)の前哨戦のころでした。
当時、メディアがゾンビ企業と定義づけたのは、
「債務超過で回復の見込みがないのにもかかわらず、追い貸しや金利減免などの銀行の支援によって生きながらえている、非生産的な企業」
その典型として、ダイエーや大京(いずれも産業再生機構案件)などが上がっていました。
バブル期において、不動産や株式の値上がり後の売却による返済を見込んだ資産購入資金の借入が巨大化。資産価格の下落によるバランスシート悪化で債務返済に窮するというパターンです。
コロナ禍でゾンビ企業云々という言葉が出てくるのですが、昨日のブログ「なぜ1割にも満たない抜本処理の話だけなのか~問われる取材力」にも書いたように、
この言葉をコロナ禍の過剰債務で苦しむ多くの中小小規模事業者に当てはめるのは果たして適切でしょうか。
バブル期のゾンビ企業のような中小小規模事業者が存在するのは否定しませんが、一握りでしょう。
債務超過が長期化している中小小規模事業者のなかに、かつてのダイエーや大京のようなビジネスモデルのところが残っているとは思えません。とっくに退場していると思います。
日経ビジネスの表題のように増殖しているとも考えられません。
昨日のブログで紹介した畏友の言葉をあらためて記載します。
「従業員を守ろうと必死に戦っている企業に失礼です。コロナ禍で事業者は最も厳しい状況に追い込まれました。記者、金融機関等は、そのような苦労をしていないわけですが、人の痛みはわかってほしいです。ゾンビと言われることが、どんなに悔しいか。」