本日20時発の日経電子版記事「米利上げ、邦銀の外債運用逆ざやも 赤字転落の恐れ」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB216IB0R21C22A0000000/
は、日銀の金融システムレポート(21日付)についての解説記事です。
その中にある、
「日銀は、債券の含み益の減少を受けて、金融機関が貸し出し姿勢を慎重にするとみる。債権の焦げ付きなど貸し倒れが生じた際に、収益のバッファーとなる有価証券の益出し余力が低下するためだ。日銀の試算では、ベースラインのシナリオと比べて、前年比の国内貸出残高の伸びが最大で1%程度減少する。」
の箇所はもっともらしく、地域金融機関の中でこのようなスタンスをとるところも出るとは思いますが、
それでは、「どこでリスクを取るのか」と反論したくなります。
そもそもリスクテイクなくして収益向上は見込めず、世界的な量的緩和でリスクプレミアムが潰れてしまった状態では、地域金融機関にとって一番わかりやすく、伴走支援次第ではコントロールできる可能性があるリスクは地元事業者の信用リスクしかありません。
日銀の予想するように金融機関が貸し出し姿勢で慎重になれば、貸し手の優越的地位をチラつかせた手数料ビジネス(規制緩和で業務が多角化したといっても顧客ニーズに合致したサービスを提供して安定収入につながるまで相当の時間がかかるでしょうから)や、仕組み債のようなハイリスク商品の販売に傾斜するのは十分予想されること。
このような顧客本位のビジネスと真逆の行動がいつまでも跳梁跋扈できるとは思えず、そんなことやっていたら顧客離れはますます加速します。
結局のところ、向かうところは、地元事業者の信用リスクしかないのです。
形骸化した感のあるミドルリスク層への取り組み(経営改善支援、事業再生支援も含む)を改めて真剣に考えるしかないということです。