〜「貸さぬも親切」という哲学を見失った金融機関。ある信金の理事長が証言する。「必要のない資金までゼロゼロ融資で借りさせていたと聞いた」。ノーリスク融資の弊害は出ており「借りた金は返す」という企業側の規律までむしばみかねない。
本日の日経電子版、
「ゼロゼロ融資 残ったツケ㊥」の中の一文です。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB12A3O0S2A211C2000000/
未曾有の事態ということで、フリーライダーの存在に目を瞑ってでも、蛇口を全開にしたことは間違っていなかったと思うのですが、彼らの跳梁跋扈は腹立たしい限りです。
フリーライダーたちとは接点がないのですが、こういう金融機関では、取締役会や理事会でどのような議論がなされているのかと考えてしまいます。
営業とコンプライアンスの役員が兼任だった中日信用金庫は論外ですが、経営会議の運営はどのようになされているか、社外役員は機能しているのか。
ディスクロ誌を拝見するとガバナンス項目には立派な文章が並んでいます。魂のない仏。
その一方で、こういう↓地銀もあるんですけどね。
「毎週月曜日の午前に開かれる北国FHDの執行役員以上が参加する戦略会議。全社員にライブ中継され、視聴する社員は100人以上に達する。資料は原則、会議開催の1週間前からTeamsにアップされる。意思決定の過程が見える化され、誰が何を話したか一目瞭然だ。」(本日の日経北陸版「北国FHD 変革の実相②」より)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC07B0T0X01C22A2000000/
コメント
この「ゼロゼロ融資 残ったツケ」シリーズは素晴らしいですね。
そして野崎教授の下記投稿は日本の中小企業政策を的確に示していると感じました。
『懸命に事業を守ろうとしている経営者に「ゾンビ」のレッテルを貼るのは、大変失礼な話だとは思います。しかし、この国では中小・零細企業に対する行き過ぎた保護的政策へと、政治的バイアスが掛けられる歴史を歩んできたことも確かです。同時に、(国や保証協会の保証による)「事業性の判断」に関する金融機関の思考停止がこれに拍車をかけています。コロナ初期の豪雨で「傘を貸す」ことも重要でしたが、状況の落ち着きと共に、事業者の傷口を拡げないように「貸さぬも親切」、つまり出口戦略の手助けを行うことこそが、もうひとつの地域金融の大切な使命だと思います。』
ただしこの出口戦略の手助けは地域金融だけでは難しと思います。少子高齢化・都市化の進展する中で、国が地域社会を生活者の視点でどうするのか、明確な方向性を示す必要があるのではないかと思うのです。
14日日経の1面でローカル線利用者の85%が値上げ容認という記事、地域生活者がローカル線を必要としていることをしっかり示しています。こうした生活視点を重視して、国・自治体・地域企業・金融機関が地域生活を作ることを目標として伴に動くことが大切と思います。