近代セールス5月15日号のファイナンシャルボイス〜「かつての“偉い”融資課長は銀行にいないのか?」から、
~「伴走支援!」と声高に掲げ、基礎となる企業分析もせず独りよがりの提案にのみに入れ込み、仕事をしている気になっている輩もいるという。顧客からの真の信頼を得るためには、基礎技能をしっかり習得して実践に活かさねばならない。
~プロの銀行員とは、顧客を見極める力を持ち、顧客から信頼を得ることができる人間のことをいう。
(以上、記事より)
匿名なので推測の域を出ないのですが、筆者の“遼太郎さん”は金融検査マニュアル以前から、中小企業金融の現場を知り尽くした方とお見受けしました。
本稿に接し、中小企業金融の現場の実体験がない分際でありながら、「本業支援だコンサルだという前にバンキングをもっと究めるのが先だろう」と吠えている自分が間違っていなかったと安堵しました。
20年前のリレバンあり方検討会議で、地銀や信金信組は地域屈指の情報やネットワークがあるのだから、それらを顧客の事業で活用すれば、企業価値を上げることができるのではないかと具申して、コンサルを付随業務として認めてもらったのですが、
それは確固たるバンキングを前提とするものです。
お客さまが事業に専念できる環境づくりを行い(真の資金繰り支援)、それによってお客さまからの信頼を得て、相談していただけるようになり、そこからコンサルティングや本業支援が始まるのです。
いまの地域金融機関を見ていると、現場のバンキングがリスク回避型で汗をかかないプロダクトアウトの物売りとなり下がっている中で、コンサルや本業支援とやらが顧客ニーズなどお構いなしに、顧客のもとへ飛んでくるという図式です。
信頼関係を踏み潰し、目先の利益だけを追いかける地域金融機関は、“遼太郎さん”の苦言を重く受け止めねばなりません。