ある地域中核都市P市に所在する県外地銀XのP支店で、取引先企業の経営者向けに話をする機会をもらったことがあります。
四半世紀前のことです。
その地は数百年前から交通の要地で、製造業とサービス業の産業バランスも良いのですが、全国でも屈指の排他的なところだといわれてました。
中堅以上の企業はメガバンク取引、中小小規模事業者は地銀と複数の信用金庫がガッチリ押さえており(とくに信金が存在感あり)、県外地銀はどこも苦戦をしていました。
出席いただいた経営者の方々と親しくなり、懇親会で分かったのは、取引先の中に生粋の地元事業者はほぼ皆無で、取引先の面々も県外地銀と同様に「よそもの」だということ。
P支店のお客さまは、この地の強烈な排他性の中で生き残ったたくましい事業者の方たちだったのです。
アウェーな立ち位置の、よそもの事業者とよそもの地銀とがしっかりとつながっているのを見て、全国屈指の排他的な場所ならでは地域金融の姿だと思いました。
さて、
四半世紀ぶりに、X銀行P支店の話を聞く機会があったのですが、メガバンクのメイン先に対し、地道に取引を積み上げ、多くの企業でメインに準じる扱いを受けるようになってきたとのこと。
メガバンクの地方都市の中小企業へのコミットメントが弱くなる中で、高度な相談を一手に引き受けるようになり、信頼感を勝ちとっていったようです。
業界誌には、伸びている地銀にはメガバンク取引先のメイン化戦略があると書かれています。
メガバンクが地方の中小企業取引が抑制的になる流れの中で、その代わりにメガバンクの先のメインの座を奪取との意欲を見せる「府県外地銀」は多いのですが、
そんな簡単な話なのでしょうか。
X銀行P支店を見ると、石の上にも3年どころか四半世紀。
その間、お客さまはしっかり見ています。