広島市信用組合 山本理事長の「仕事の流儀」(3日のNHK番組) の衝撃は大きかったようです。
今週、会った人たちとの話題では、この話が一番でした。
山本さんのみならず、協同組織金融機関 (信用組合、信用金庫) には優れた経営者がたくさんおられます。(もちろん、お粗末極まりない人も少なくありません、残念ながら)
協同組織金融機関の優れたトップの経営手法は、画一的でなく (つまりモノマネではない)、それぞれの地域の特性、お客様の実態に則ったものです。
ただ、共通点があります。
地域に対する愛があります、志があります、責任感があります。
顧客本位、当たり前です。
そして本気度が半端ではありません。
評論家のように美辞麗句を並べて、経営ゴッコをやっている、どっかの地域銀行のトップ (少なくない) とはまったく違います。
だからお客さまとの確固たる信頼関係があるのです。
トップのメッセージが明快だから、納得感のあるものだから、本気度が伝わるから、現場は動くのです。
ヒューマンアセット (無形資産) が活性化し、有形資産である融資が質量ともに向上するのです。
こういう金融機関からは早期退職者の話題は聞こえてきません。
金融機関が新卒採用で苦労する中、新田理事長の第一勧業信用組合は「千“学”万来」とのこと。すごいですね。
もちろん、
地域銀行にも立派な経営センスを持ったトップはおられます。
しかしながら、そういう銀行でも、現場の活動には相当の濃淡があり、優越的地位の濫用によるプロダクトアウトの横行している店舗が少なからずあります。
組織的継続的な現場を作り上げることの難しさを痛感します。
どんなに能力の高い経営トップでも、目の届く範囲は限られます。
「適正規模」は間違いなくあります。
結局のところ、協同組織金融機関の規模でなければ、真の意味での地域密着金融は難しいものと思います。
4月に日本経済新聞の地域金融セミナーでご一緒したコンコルディアFGトップの川村さんが、横浜銀行におけるミニバンク化構想を話されたことも、よく理解できます。
ダウンサイジングとアライアンス、そして矜恃あるトップが選ばれるガバナンス。
これこそが地域金融機関のあるべき姿なのです。
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「顧客のために合併して強い銀行を作る」
はあっ???
銀行の身勝手な虚言 (そらごと) にしか聞こえません。
コメント
「適正規模」。将に老子が言うところの「小国寡民」ですね。
『什伯の器ありて而も用いざらしめ』・・・仰々しいシステムを導入したり、プロダクトアウトの押し売りはせず、
『復縄を結んで而うして之を用いしめ』・・・やたらと業務を拡大せず、常に地域金融機関の基本に立ち返り、
『其の食を甘しとし、其の服を美とし、其の居に安んじ』・・・基盤の地域に対する深い愛着を持ち、
『其の俗を楽しましむ』・・・地域金融機関の仕事に喜びと生き甲斐を感じ、
『老死に至るまで、相往来せず』・・・職員が早期に辞めていくこともない。
地域金融機関の在るべき姿だと常々感じます。
Hさん、
格調高いコメント、ありがとうございます。
不勉強なワタシは、老子というと「無為自然」しか知らないのですが、地域金融機関経営にぴったりの教えですね。
当組にコメントいただきありがとうございます。
今年度の採用応募者は昨年度の1.5倍ありました。
採用応募者が多い、退職者が少ない、うつ病が少ない。
これは、会社を見る目のポイントであり、無論金融機関も例外ではありません。志ある学生に、経営の志で応えて参ります。
収益至上の量販店ではなく、質の高い専門店でありたいと思います。
第一勧業信用組合さん、お見事です。
学生は良く見ていますね。