唄を忘れたカナリア

経営者の高齢化で中小小規模企業の廃業が大きな問題となって以来、かなりの時間が経過しています。

2016年2月17日のクローズアップ現代 (NHK)「黒字企業が消えていく〜自主廃業3万社の衝撃〜」では、名古屋のチョークの会社が、メインバンクから2000万円のM&A手数料 (当期利益2年分) を提示され、廃業を決める話が出てきます。

http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3771/

放映直後の経済産業省でのローカルベンチマークの活用会議でも話題になりました。

さて、

地域金融機関は取引先の事業承継に注力していると声を大にするものの、その実態は???です。

M&Aビジネスでそれなりの手数料収入の対象となるゾーン (手数料収入10百万円が見込める?) では非常に熱心なのは認めます。

ところが、小規模零細の事業者となると、労力? (M&A専業会社への丸投げも多いのですが) に見合った対価が得られないとの理由で放置されています。

2017年の中小企業白書には、東京商工リサーチ「休廃業・解散企業動向調査」をベースに、廃業の現状が書かれています。

2013年〜2015年の期間で休廃業・解散した企業 84,091社のうち、休廃業前の利益率がプラスの黒字状態で廃業した企業の割合は50.5%なのだそうです。半数超の企業が廃業前は黒字。

そして、黒字廃業企業のうち、69%が従業者数5人以下の小規模企業、93%が20人以下の中小企業であり、地域金融機関が熱心に事業承継に取組んでいると思われるゾーンから外れたところで、ほとんどの黒字廃業が発生しています。

地域金融機関が無視を決め込んでいるこの層の事業者の廃業問題はまったく解決していないのです。

結局のところ規模の小さい個別企業ごとに考えるのではなく、コミュニティ単位で面としてとらえていくのが一つの解決策ではないかと思います。

ところで、全国中小企業380万社余りのうち、260万社は組合に所属していると言われています。

組合単位での小規模零細事業者の廃業問題を考えるべきであり、これこそが商工組合を地盤とする商工組合中央金庫の役割なのです。

先日、ある有識者の方から、

「商工中金は唄 (組合) を忘れたカナリアだ」

と厳しい言葉をいただきました。

重く受け止め、対応し、納得いただけるような成果を出さねばならないと思います。

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コメント

  1. 橋本卓典 より:

    相当にひどい状態で、首の皮一枚つながったのが商工中金です。自殺者も出しているのです。このことを忘れてはいけません。解体的出直しと大臣に指摘されましたが、本当に必要かどうかは、尚、経過観察中であるはず。他方、ご指摘の課題は、保証協会とは親和性がある内容だと思います。

  2. 新田信行 より:

    商工組合中央金庫の名前に恥じない、原点回帰を求めます。私達も含め地域信用組合は、商工組合中央金庫の代理店で、共に中小企業団体中央会を支える立場にあります。当然信用組合も、共に頑張らなくてはなりません。