14日の日経電子版に、北海道拓殖銀行の頭取だった河谷禎昌さんのインタビュー記事が掲載されました。
拓銀破綻後に特別背任罪で実刑判決を受けた河谷さんの生々しい話から、私たちは地域を支えるべき銀行が経営理念から逸脱し、身の丈に合わないことをやることのツケの大きさを思い知らされます。
〜地方銀行は日銀のマイナス金利政策で収益が悪化している。拓銀破綻からの教訓は?
「地場の取引先としっかり取引をして、欲張らずに取引を継続して取引先を育てていくことに尽きる。背伸びをせず、無理に新興国に出たりせず、正業を営む地元の企業と取引していくという銀行の基本をやればいい」
(原文より)
越境戦略でボリューム追求する中で、粉飾などに遭遇し、与信コストの急増を招いている地域銀行にとって、ずっしりと響く言葉です。
河谷さんのお話でもう一つ印象に残ったのは、
「大蔵省の『護送船団方式』があるなかで、(最後は国がなんとかしてくれるという)甘い期待があった。」(原文より)
です。
地域金融機関の経営者の中には、金融行政や日銀の量的緩和 (→ マイナス金利) に対する被害者意識を吐露する人が少なくありません。
気持ちは分かる (「量的緩和が地域金融機関の収益基盤を崩壊させた」という意見にワタシも組みします) のですが、泣き言を言ってどうこうなるわけではありません。国が助けてくれるわけではないのですから。
輸出産業が急激な円高に対し、苦しいながらも対処していったことを見習い、金利環境の変化に対し、地域金融機関もビジネスモデルを変化させていく必要があります。
先人の言葉から、原理原則に則った地域密着型金融を粛々と進めることの重要性を改めて教えられました。