中小小規模企業の事業再生。
事業再生には金融機関の業務のすべてが内包されており、連立方程式を解くような高い難易度があるのですが、ほとんどの金融機関では、この業務に携わっている人間はひと握りに過ぎません。
事業再生は終わったと部門縮小した金融機関も少なからずあります。(コロナ禍で慌てて再拡充などという話も聞こえてきます)
経営トップになる、経営陣に入る、そのためのキャリアパスとして事業再生業務を位置づけることは不可欠です。
事業再生といいますが、ひと握りの人間を除けば、金融機関は苦境に陥った事業者の心の中まで理解できないでしょう。優越的地位のある貸し手に本音をさらけ出すことはないからです。
“事業者サイドに立脚した”事業再生に10数年、携わってきた鳥倉大介さんの話を聞く機会がありました。
鳥倉さんは奥さんの実家の再建を行なったあと、再生ファンドや再生コンサルティング会社等を経て2014年に独立。
80社ほどある実績のうち、いくつかの実例をうかがいましたが、厳しい注文をつけながらも、根底には企業経営者に対する「やさしさ」があります。
債権者にとっては耳の痛い話もあり、しっかり受け止めねばならないと思いました。
鳥倉さんのホームページの中身は、事業者の目線に立った、きわめて具体的なものであり、明朗会計が謳われています。
当然ながら、融資を斡旋したから、そのうち〇〇%をください、といった類いのものはありません。
金融機関や信用保証協会などの債権者にとっても、ハッとするような気づきがあります。
地域金融機関や信用保証協会の人たちに聞いてもらいたいと思います。
さて、
地域金融変革運動体では、中小小規模事業者の再成長を支援しています。
鳥倉さんのお話しをうかがったのも、その一環です。
2020年1月18日、松江市において、企業支援家たちのシンポジウム(島根県信用保証協会と地域金融変革運動体による)を手探りながら始めました。
そこでパネリストを務めたご三方。
伊藤貢作さん、渡辺茂紀さんは、いまや全国の金融機関、信用保証協会、中小企業支援組織などで引っ張りだこ。
奥山真司さんの活動はクローズアップ現代に取り上げられるなど、奥山さんの所属機関の地域密着型金融は注目の的となっています。
鳥倉さんに加わっていただくことで、顧客本位の中小企業金融/地域金融がさらにパワーアップするものと、嬉しく思っています。
コメント
鳥倉さんのTwitterアカウントを、何かのきっかけでフォローして以来、頻繁に拝読しています。
残念ながらまだお会いしたことはないですが、Twitterの呟きの端々にも、学ばされるものが多々あると感じています。
余談ながら、私が畏敬する再生コンサルタントで、四国・中国を中心に建設業・運送業支援で活躍されている網師本大地さんという方がいます。
網師本さんも、事業者目線、現場目線を徹底して貫かれており、Facebookの投稿などから日々学びと刺激を頂いております。
鳥倉さんは、SoFunの同志で、伊藤貢作さんと同じ本物の企業支援の職人です。何より、多胡さんのご指摘の通り、バッターボックスの企業側に立ちながら、ちゃんと仕事をやってのける。カネ目的地の計画しかつくれないニセモノ支援者ではありません。タテ・ヨコ・ナナメを整えることばかりに血眼(ちまなこ)になり、現実の損益を変えることができない企業支援者は、学び直すべきです。一つ改善、解決すれば、新たな問題や展開が出てくるので、計画は常に修正されて然るべきなのです。人の行動変容につながらない支援、計画、制度は、まったく無意味、それこそファンタジーです。鳥倉さんは、圧倒的な経験に裏打ちされて物語ります。
地域金融変革運動体は、こうした面白い人材を発掘し続けていますね。
耳が痛いですね…。
プールサイドから口先だけで泳ぎ方をダメ出しする「プールサイダー」ではなく、自ら支援先事業者と水の中に入り、一緒にもがける支援者であるよう、自らを戒めたいと思います。
(さらに言えば、プールサイドにすら立とうとしないレイジーバンクを何とかしないと…。)