政府が創設するゼロゼロ融資の借り換え保証制度に関する報道が出ていますが、注目したのは以下の箇所です。
「借り換えには条件を設ける。収益力を強化するための計画書を金融機関と作成することを求め、事業再建に実効性を持たせる方針だ。」(読売新聞オンライン、10月31日)
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20221030-OYT1T50262/
過剰債務を減らすためにやるべきことは“PL改善”であり、それを条件とするのは当然のこと。
日頃の取引関係がなく、ノーリスクとなった途端、横からシャシャリ出てゼロゼロを実行、その後は何もしなかったフリーライダー金融機関が、実効性あるPL改善計画書の作成のパートナーになり得るでしょうか。
従来より当該事業者を資金面で懸命に支えていた金融機関がフリーライダーから取り戻し(借り換え実行)、その金融機関と信用保証協会とが中心となり、地域における中小小規模事業者を支援する人たちを適宜巻き込み、総力戦でPL改善を支援する計画とすべきです。
そういう制度設計ができるか。
フリーライダー主導の「なんちゃってPL改善計画」で安易に債務を増やすことは許されません。
これを機会に、フリーライダーの撲滅を図るべきです。
そして、経営支援業務に消極的な信用保証協会は、「総力戦の核」であるとの自覚を持ってください。
コメント
多胡先生、仰る通りです。
ただ懸念されるのは、「従来より当該事業者を資金面で懸命に支えていた金融機関(と言えるかどうかは怪しいですが)」=「フリーライダー」であるケースです。結構な割合でこういう状況が発生しているのではないでしょうか。
「なんちゃって従来より当該事業者を資金面で懸命に支えていた金融機関」は、金融検査マニュアルの呪縛から解き放たれていないので、いわゆる合実計画なるものを作りたがります。その主旨がお客様のP/L改善であればいいのですが、金融機関の引き当て負担軽減に軸足があり、お客様もこの金融機関のスタンスを見透かしているのでなかなか足並みがそろった伴奏支援になっていないように思います。
全ての地域金融機関がこのような状況でないことを祈りますが、少なくとも私がお客様側から話を聞く範囲ではこのような状況のようです。情けないですが・・・。
K司さま、
コメントありがとうございます。
2019/12に検査マニュアルが廃止となり、金融機関はBSの呪縛、債務者区分や債務償還年数がどうしたこうしたから、解き放たれたはずなのですが、それから3年経過しても、ほとんどの金融機関の融資姿勢は検査マニュアル時代のままです。
検査マニュアル廃止がコロナウイルス襲来の前で本当に良かったと思っているのですが、金融機関は従来のまま。これじゃあレイジーバンクといわれても反論の余地はないのでは、と腹立たしく思います。
多胡