数年前に南都銀行の決算数値を見て驚いたことがあります。
人件費が前年比で激減。
ただ給与カットや人員カットではなく、従業員に対する社会保険費用をついに銀行業界の標準レベルに見直したことが理由だと知りました。経営環境の厳しさから、非常に手厚い社会保険制度にも手を入れざるを得なかったと感じました。
従業員を大切にするという印象が強い南都銀行ですが、地銀の典型ともいえる地元出身者の集団である上、中途採用もなく、村社会の図式です。
この南都銀行が外部からナンバーツーを招聘するとの報道に度肝を抜かれました (ワタシもそうです) が、地銀業界の反応は冷たいものがマジョリティだったと思います。「内部の抵抗が強くて、うまくいくわけないよ」
一方、金融庁のある方からは「自分たちは何もしないで批判だけ。如何なものか。南都銀行のトップの決断は大いに評価したい。」との応援メッセージを聞きました。
さて、
7月23日の日経電子版で南都銀行の橋本頭取のインタビュー記事が掲載されました。
《改革を起こすとき、既存勢力の抵抗が出てくる。だが、功罪を考えた上で思い切った意識改革をしたかった。(中略) 外部の新しい知見を取り入れないと延長線上での改革には限界がある。今まで完全に『純血主義』で中途採用もほとんどなかった。南都銀の独自の人材だけでは限界があるというのが石田氏を招いた最大の理由だ。5年先を見据えて思い切った改革をしないと将来に後悔が残る。抵抗は色々あるにしろ、批判を全部受けて、やることをやりきろうという思いだ》
いくら社外役員をそろえるなどのガバナンス体制を整えても、執行を担う経営陣、とくに経営トップの本気度がなければ絵に描いた餅と痛感しているワタシも、「執行サイドに外部人材を入れる」という南都銀行トップの挑戦にエールを送っています。
コメント
昨今の地銀トップの方々は、
① 退任する(経営逃亡?)
② 外部環境の変化を恨み、その好転に望みを託して我慢する(他力本願?)
③ トップ自らが時勢に応じた改革を進める
の何れかのようですが、流石は古都の老舗地銀、いざとなれば自己変革能力を持ってますね。
金融庁出身の元役人が外部人材?!同じ新聞には大蔵省出身の頭取が変化を阻んだと書いてありましたが…結局役人の天下りポストを増やしただけじゃないんですか?
割とよく知られた話ですが、金融庁から南都銀行にヘッドハントされた方は、大手都銀と有名コンサル会社におられたんですよね。
こういうのは天下りと言わないのでは。
「役人の天下りポスト?」、古い発想です。
失礼しました。存じ上げませんでしたが、石田副頭取は森元長官のお友達コンサル出身だったんですね。であれば、たとえ許認可権や検査権を持つ官庁から利害関係のある企業に再就職しても問題ないですね!金融界の発展のため、金融庁の優秀な人材はどんどん地銀や信金に転職してほしいですね。