🚩「収益の質」へのこだわりは何処へ

〜金融庁幹部は「時間をかけて企業風土を根本的に変えていくことが必要だ」と指摘する。

節税を強調した保険の売り込みで業務改善命令の対象となったエヌエヌ生命保険についての日経電子版(本日)にあった文言ですが、

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB168IO0W3A210C2000000/

多くの地域金融機関に対するメッセージと同一のものとして重く受け止めました。

20年前にリレーションシップバンキングに関する本で、地域金融機関の営業統括部は「花の応援団と集計係になるな」と問題提起して以来、彼らの姿勢を注視していますが、大部分の組織においてそのありようが変わる気配は感じられません。

ある地域銀行。収益力があり、PBRも相対的に高く、隣県の同業たちからは羨ましがられ、メディアからも持ち上げられているのですが、若手を中心に人材流出が止まりません。

かつて、この銀行に対しては、営業現場の足腰が強いという好印象を持っていました。

『収益の質にこだわる』支店長が数多く存在し、そういう支店長たちは顧客からはもとより、銀行内でも高い評価を得ていたからです。

「収益の質」の土台には、顧客本位の日々の活動やそれにより構築された信頼関係があります。営業本部も現場に対し単に数字を追わせるのではなく、「収益の質」の部分をちゃんと見ていたように感じますが、今はそうではないのではないか。

「動機善なりや、私心なかりしか」 稲盛和夫さんの言葉ですが、十数年前に某地域金融機関において組織的継続的なリレバン活動(「なんちゃっ...

この銀行に限らず多くの地域金融機関において、経営環境が厳しくなって、収益の質へのこだわりはどこかに行ってしまいましたね。顧客のためにならない目標は断固としてやらない、そういう支店長はもはや絶滅種です。

質にこだわらない収益は楽だし、優越的地位も使い放題。コンプライアンスは万能ならず。易きに流れる人間はあっという間に染まってしまいます。そうじゃない人間は組織を去る。

こういう組織にサステナビリティはあるのでしょうか。

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コメント

  1. K司 より:

    「時間をかけて企業風土を根本的に変えていくことが必要だ」

    ご当局には、このメッセージをあきらめずに強く発信していってほしいと思います。
    足元の収益面での成功体験で、なかなかこのメッセージの本質を理解できる銀行経営者は少ないと思いますが、すでに色々なほころびは出つつあり、それに危機感を持っている銀行員も多いはずです。
    地域のお客様も銀行がこんな状況では困ると思っているでしょうから、ある限界点を超えたら一気にこのメッセージを理解するようになると思います。
    まあ、限界点を超える前に理解してもらいたいのですが・・・。