🚩ネット銀行の上場で思うこと

先日、地銀、信金、信組、農協が入り乱れて住宅ローンの争奪戦、肩代わり合戦している地域を訪れた際に、イオン銀行や住信SBIネット銀行が存在感を示しているのを確認しました。

その住信SBIネット銀行が29日に東証スタンダードに上場しましたが、上場に関する報道によれば、

「銀行機能を事業会社などに提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)を加速させる。」(日経電子版記事↓より)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB28AGQ0Y3A320C2000000/

すでに小売、通信、航空、鉄道などの業種がBaaSの機能を使って、銀行業務に参入していますが、これが更に加速するものと予測されます。

マス個人金融を中心に、労働集約型(高コスト体質)の地域金融機関のシェアがどんどん切り崩されることが想定されるなかで、

他業態からの参入障壁の高い業務に軸足を移す姿勢を鮮明に打ち出し、そこに経営のリソースを集中投入し、そのための人材育成に注力する地域金融機関があまり見当たらないのは不思議です。

自主的な経営決断のできない前例踏襲・同業モノマネ人間たちを経営陣に押し上げていくのは規制業種の典型。経済環境の厳しい地域では座して死を待つよりはと立ち上がる人はいますが、人口、事業者数が多い大都市圏の地域金融機関の経営陣となると調整型人間で固められているケースがほとんどです。

もはや地域金融機関は規制業種ではありません。金融検査マニュアルも廃止され、規制緩和により業務の幅も大きく広がっています。

横並びや前例踏襲ではなく、自ら決めて行動を起こす人たちの出番です。

そういう経営陣が組めないとどうなるか。

現場が崩壊します。

株主、顧客、行政からの圧力をすり抜けれたとしても、従業員の大量離反で組織を構成できなくなることは如何ともしがたい。

金融庁が本年度の金融行政方針で人的資本についての記載をしたことは、金融機関の健全性、金融仲介機能への影響を考えれば、的確なのですが、地域金融機関の経営者たちのほとんどは従来の延長線上でバランスシート上のところだけしか見ていなかった。そう言われても反論の余地なしです。

それで人的資本の検査が入ると「内政干渉」↓などと意味不明なことを、、、

面白いことをおっしゃる。だったら、融資ポリシーや有価証券運用方針を検査で確認することも内政干渉なんですかねぇ。

金融庁の地方銀行への検査で、人事部門に対しヒアリングが行われたとの記事が今月の月刊誌にありました。 地方銀行の大量退職が大手メディア...

健全性、金融仲介機能の視点から、融資や有価証券運用について監督検査しているわけですが、それらを作り上げる人のところでの劣化が顕著になれば、行政が同様のアクションをとることになんら違和感はありません。

コメント

  1. 橋本卓典 より:

    金融処分庁から育成庁というのは、「処分しない金融庁」という単純な意味ではないと思います。交通違反切符ではないですが、以前のような「摘発&処分回数がすべて」という「検査と処分が目的化」していた時代からの進化のはずです。

    そうした金融行政には「あの~こんなことしていて本当に大丈夫なんですか」という処分もあるはずです。金融システムの安定は、もとより、経済や国民の厚生に資することを目的とされているのですから。

    大企業でもないのに、人が大量退職しているなら、何か起きているのではないかと思うのは至極当然かと。