資本が十分にありながら、そして顧客基盤も人的資産も地域ナンバーワンでありながら、統合先に多額の負ののれんを献上した挙句、資本統合(経営統合から合併へ)に踏み切った地方銀行がありました。
「資本も顧客基盤も人的資産もありながら経営力がなかった」ということですね。
普通はこういう状況であれば、経営力の強化が答えだと思うのですが、経営力の変革を求めるガバナンス体制も内部の従業員や地域顧客からのパワーもありませんでした。
当時、ワタシはこれを経営統合ならぬ「経営逃亡」であると強烈に発信しましたが、驚くことに地域のお客さまや地域経済に関わる人たちからは無反応。メディアにも、ごく一部の例外を除き、そういう認識はなかったようです。
それどころか地元の首長さんたちが、合併に難色を示す公正取引委員会に乗り込んで、合併を後押しする始末。揃いも揃って、金融リテラシーの低さに呆れました。
さて、金融行政方針2023では、地域金融機関の経営力の強化を求めています。
社外取や経営会議の見直しなどガバナンス体制を整えても、それだけでは経営力は向上しません。トップをはじめとして執行部隊の本気度がなければ絵に描いた餅です。
最近、内部昇格による経営刷新という事例は出てきてるものの、現経営陣の予備軍みたいな幹部揃いの組織がほとんどで、なかなか広がらないでしょう。
また、外部からの経営者の招聘となるとすざまじい抵抗があり、不祥事がらみでもない限り現実味はありません。
さて、冒頭の話。
数年前の事例は、「資本も顧客基盤も人的資本もありながら経営力がなかった」
のですが、いまや業況は大きく変化しています。
経営力の欠如から人的資産が崩壊し(現場がもぬけの殻状態の地銀も)、顧客基盤の証である信頼関係が怪しくなっている地銀が増えているように思えます。(最近の地銀株上昇の気流に乗れていないので、皮肉にも負ののれんはあまり減少していませんが、苦笑)
そうなると経営力強化の視点からの経営統合も。
その場合、統合を受け入れてくれる相手がいるかどうか。
対価としての切り札は、負ののれん?、↓
それだけじゃ、あまりにも情けないですね。