「組織の自己防衛のための目標数値、KPI、効果測定を設定すると、経営の方向性を見失ってしまう」
最近、ある金融関係者の方(幹部です)からいただいたメッセージのなかにあった言葉です。
目標数値、KPI、効果測定が、経営理念に則り、顧客と共通価値の創造に立脚したものとなっていなければ、地域金融機関や信用保証協会の経営ではありません。
目標設定などが、組織の自己防衛になっていないか。
点検の必要がある地域金融機関、信用保証協会は多いと思います。
「地域金融機関が存続することは地域にとって不可欠。だから、まずは組織の自己防衛ありきで何が悪い」
早期退職者の激増で現場が崩壊し、組織の自走に赤信号の灯っているように見える某地銀ですが、振り返ってみると、経営者のこの手の言葉が何度か耳に入って来ました。
こういう屁理屈を臆面もなく語る経営者は即退場ですね。
もう、手遅れですけど。
思わず負ののれんを計算してしまいました。
最近の地銀株急騰の流れで、こういう銀行でもPBRが上昇、頼みの負ののれんも減っています。
コメント
「サスティナブルなビジネスモデルの構築」「本業利益での黒字化」なる御当局のメッセージを曲解し多くの金融機関経営者のフォーカスは自行の収益のみに向いてしまったように思います。その結果、徹底的な効率化や新たな手数料の設定、手数料の引上げ等に突っ走り、短期的には期間損益の拡大という結果はもたらせたかもしれませんが、そのオペレーションの中でお客様の満足度を低下させ、また行員のプライドや働き甲斐も阻害し大量の中途退職者を出し続ける結果となっています。
そうしたオペレーションはビジネスモデルでもなんでもなく、長期的にはサスティナブルなどころか存在を危うくするのではないかと危惧しています。
こうした多くの金融機関には今一度その使命に立ち返ってもらいたいものです。
地域金融機関として、「地域、地域経済の振興に資する」という使命の元、地域特性、競争状況、自行のポジション等を考えてその使命を達成するオペレーションこそが「サスティナブルなビジネスモデル」であるはずです。
日本経済沈下の責任は、当然第一義に政治にありますが、金融機関の経営にもその小さくない一端があるような気がしてなりません。