「多くの地銀のコロナ案件処理は、最速です。なぜならば2択だから。
①コロナ前に「リスケがない」事業者には→『公庫に行きなさい』
②コロナ前に「リスケがある」事業者には→『保証協会に行きなさい』」
昨日のブログ「これにて一件落着ではない」への橋本卓典さんのコメントです。
コロナ禍のような緊急局面において、事業者は日頃取引があり、事業実態を分かってくれている金融機関(日本政策金融公庫ではない)に相談するというのが当然の流れと考えます。
取引金融機関は相談者の実態が分かっているはずですから、一からの審査をやることなく、迅速に危機対応の資金は供給されるはずです。
日頃の取引がある民間金融機関が日本政策金融公庫(公庫)と同じ金融商品を取り扱う仕組みがあれば、公庫がパンクするようなことはありません。
3月から一部の地方公共団体には無利子無担保融資がありましたし、5月に入りそれが国家予算をベースに全国的に展開しています。
~信用保証制度を利用した都道府県等の制度融資への補助を通じて、民間金融機関においても、実質無利子・無担保・据置最大5年・保証料減免の融資を可能とします。融資に際しては、民間金融機関においてワンストップで手続きを行うことを可能とすることで、迅速な資金繰り支援を推進します。(経済産業省のホームページより)
これによって、日頃取引のある金融機関がすみやかに対応するという、本来あるべき姿に戻ったわけです。
さて、
冒頭の橋本さんのコメントにあった地銀の「交通整理」の話です。
日頃取引がある民間金融機関がリスケのあるなしで、公庫と信用保証協会に振り分けるだけの交通整理に甘んじている姿勢は許されません。
信用保証協会や地方公共団体が関与する無利子無担保融資ではワンストップ手続きの主体とならねばなりませんし、とくに据置期間の長い融資では橋本さんがコメントで書いておられるように途上与信管理、すなわち貸しっ放しは許しませんよという建て付けになっています。
さらに公庫への誘導ですが、未取引の事業者でない限り、上記のワンストップで対応する方がスピーディであり、顧客本位と考えられます。
小規模事業者は手間がかかるので(そんなことは言わないでしょうが、本音は?)、公庫へどうぞというわけにもいかなくなるでしょう。
「交通整理」でお茶を濁している場合ではありません。
コメント
中小企業への公的資金注入フェーズに入る訳ですが、「公庫行け」「保証協会行け」の交通整理銀行に務まるのでしょうか。
再生支援協議会は金融機関次第なので、よくよく中小企業金融の現場を知らないと公的資金プログラムは大失敗しますよ。大企業にメスを入れた産業再生機構とは違うアプローチが必要です。
ある頭取さんからはこんな提案が寄せられました。
「事業再生案件に伴うDDSは100%引き当てなので協同組織金融が反対するケースが多く調整が難しい。よって、DDSをバックファイナンス、肩代わりするようなインセンティブを与えないと事業再生は進まないのでは」
もっともなことです。しかし、交通整理銀行は、そもそも事業再生に力を入れ、人材を育ててきたのでしょうか。
交通整理銀行と目されるトップ地銀の多くは、事業再生人材が不足しています。
経営者がそういう人材を大事にしていないからです。
トップ地銀はそもそも信用リスク面で問題ないところを選別できますし、多くのトップ地銀は悪くなったらさっさとドライに回収してきた歴史があります。
交通整理で件数を誇る某地銀が顧客の事業再生をやったという話は聞いたことがありません。それに対して、同地の二番手銀行は多額の不良債権で苦労した経緯があり、事業再生人材が揃っています。
コロナ禍が長期戦になると事業者の経営改善/事業再生能力がキーになり、交通整理銀行にはアゲインスト、二番手銀行の強みが生きてきます。