生保の地銀株売却について、森俊彦さんは著書「地域金融の未来」の「3-10:中小企業とコーポレートガバナンス・コードおよびスチュワードシップ・コード」(p66-p67)において、次のように書いています。
地銀株の売却を考える生命保険会社には、是非とも読んでいただきたいものです。
◆中小企業とスチュワードシップ・コード
〜「『責任ある機関投資家』の諸原則≪日本版スチュワードシップ・コード≫~投資と対話を通じて企業の持続的成長を促すために~」(スチュワードシップ・コード」は、機関投資家などがスチュワード(顧客から資産の管理を委ねられた者)として、投資先の上場企業に対して持続的成長を促すための行動規範であり、金融庁が2014年2月策定、2017年5月改訂していたもので、2020年3月に「再改訂版」を公表した。「再改訂版」の最重要ポイントの1つは、「機関投資家は、ESG要素を含むSDGs(3-6、3-7参照)の考慮に基づく対話(エンゲージメント)により投資先企業の企業価値の持続的な成長を促す」としたことである。
〜上場地域銀行の経営トップからは「機関投資家からROE等財務指標についてのプレッシャーがあるので短期的収益を重視せざるをえない」との声が聞かれる。しかし、国内生損保などの本丸は日本国内であり、国内営業基盤の崩壊を防ぐには、保険商品の代理店販売も重要だが、それ以上に、「地域銀行の事業性評価に基づく融資と本業支援による地域活性化が不可欠である」との認識が広がっている。ESGやSDGsが一段と重視される流れとベクトルは一致している。
コメント
SDGs/ESGにおけるサステナビリティが最終的に自社の生き残りという経済的価値に置かれてしまうと活動の選択は決まってしまいます。「誰一人置き去りにしない」という真の目的のためには、自社の利益を犠牲にして支援・応援するというのが本筋と思うのですが。犠牲にする懐がないと中々できる取組みではありません。