コントロールできないリスクテイクは博打行為

昨日の朝日新聞、本日の日本経済新聞と、地域銀行の外債投資に関する含み損に関する記事が出ています。

一昨年末から昨年初にかけてのトランプラリーで痛手を被った地域銀行に対し、金融庁の検査が入ったことは記憶に新しいのですが、その後、これらの銀行は果たしてリスク管理体制の抜本的な見直しを行ったのか、と疑いたくなります。

地域銀行の経営陣に有価証券運用の経験がある人が少ない中で、外債運用の場合には厄介なアベイラビリティ・リスク(資金調達のリスク)が加わります。円資金が潤沢で預貸率の低さに悩む地域銀行に、なかなか理解できないのがアベイラビリティの問題です。

「地元の事業者を財務面、本業面で支援した結果、当該事業者が破綻して、貸出債権が不良化して損失を被っても、地域は許してくれるだろうが、有価証券運用でコントロールできないリスクを取り(つまり博打行為)、損失を出したら弁明の余地なし。経営は責任を取らねばならない。」

これは、地域金融機関の社外役員の仕事をする中で、私が常に肝に命じていることです。

地元のお客様との長いお付き合いの中で積み上げた貴重な資本をバッファーにリスクテイクするわけですから、経営として当然の感覚です。

金融庁が運用体制の見直しを求めているのは20行と、地域銀行の2割に上りますが、これらの銀行の経営者の人たちの存念をうかがいたいものです。

こんなことをやっていたら、地域顧客から捨てられることになるでしょう。


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