鹿児島の地元紙である南日本新聞の3回 (3月28日から30日まで) にわたる連載記事、
「第二地銀のシンカ 〜 南銀の取り組み」
は読み応えがありました。
南銀というのは、鹿児島の第二地銀である「南日本銀行」です。
南日本銀行は金融機能強化法による公的資金の資本を導入していますが、同法の趣旨に合致した「取引先の商品サービスの販路拡大を行うことで、それが銀行の業容・利益としてブーメランのように返ってくる」という「Win-Winネット業務」を展開しています。
Win-Winネット業務は金融庁のいう「顧客との共通価値の創造」の見本のようなビジネスモデルであり、金融機能強化法による資本導入行の中では間違いなく優等生です。(ワタシは金融機能強化法の経営計画の審査をしています)
ビジネスマッチング・販路拡大はどこの地域金融機関もやっているのですが、それらは南日本銀行のWin-Winネット業務とは似て非なるものです。
「継続的な取引で中長期的な利益を得られる質の高い販路拡大を目指す」(部長の発言)
との3/28の記事にある通り、他行にありがちな属人的・単発的・イベントではなく、南日本銀行のそれは“組織的継続的”であることが第1のポイントです。
さらに
「昨年の経営計画(3年ごと)から、販路開拓支援の対象を企業努力だけでは伸び悩む商品サービスを中心に据える」
との記事(3/29)にある通り、売りづらい商品サービスを販売するのが第2のポイントです。
売れる商品サービスの販路拡大支援とは顧客の満足度が桁違いでしょう。
Win-Winネット業務のお客様の、
「一緒に経営してくれている感覚」(3/30記事)
との声にはしびれました。
これぞ顧客との共通価値の創造 (CSV) です。
顧客の都合にお構いなく (ワタシは預かり資産業務を否定しているわけではありません、念のため)、保険会社や証券会社との“共通価値の創造”に血眼になっている地域金融機関には、爪の垢を煎じて飲んでいただきたいものです。
コメント
あっぱれ!!南日本新聞! 銀行の取り組みもさることながら、実態をちゃんと伝える取材力の高さ・・・おみごとです。
属人的、単発的、イベント型・・・確かにありがちです・・・
楢山さんの地元紙はどうでしょうか。
イベントなどの、なんちゃってリレバンを報道して浮かれ弛んでいるんじゃありませんか。
地方創生と称して、市町村と銀行のトップ同士で握手する記事には辟易です。あれは醜きものです。
地方紙の記者は、まだ(一部)気骨があって自分の書きたいことを書ける土壌はあるとは思いますが・・・上(デスク)にあがると、なぜか「トップ同士のカメラ目線」写真掲載付き記事になっていまいがち・・・です。
それと、資本が地元のためにどう使われているか?よりも「自己資本比率そのもの」の記事になりがち・・・かもしれません。