今日も「地域金融の課題と競争のあり方」報告書の話です。
いろいろな方からご意見を頂戴し、ネタが尽きません。
ある地域銀行のトップは本報告書の下記の部分に着目しました。
12ページです。
「金融庁においては、地域金融機関に対し企業の本業支援など、中小企業の経営改善に資する取組みを奨励している。しかしながら、顧客本位の業務運営を行い、取引先の企業の生産性向上に貢献するような取組みは、いずれもそのための人材育成や収益化に時間と費用を要する。このため、こうした取組みを行っている金融機関の多くは、元々経営能力や経営体力のある比較的大手の金融機関を除けば、公的資金の活用や経営統合などにより経営上の余力を作り出し、時間をかけて顧客本位の業務運営態勢を構築している。」
このトップは、この箇所から行政の意図を理解し、銀行が生まれ変わるために、“顧客本位の持続可能なビジネスモデル” を役職員に周知させようと、行内に発信しているのです。
ワタシは「元々経営能力や経営体力のある比較的大手の金融機関を除けば」という箇所を「元々経営能力や経営体力のある金融機関を除けば」と読み替えれば、まったくその通りと考えます。
規模が小さくても経営能力があり、経営体力もアライアンスによって克服しているところがあるからです。
改めて、地域金融の合併統合が、顧客本位の業務運営態勢の構築のための「手段」であり、「目的」ではないこと、規模を大きくすることだけが解決策ではないことを、再認識した次第です。
何のために統合合併に踏み切ったのか理解に苦しむ事例 (少なくない) を見るにつけ、このことを痛感します。