地域金融機関の再編を煽る論調の根底には、スケールメリットやバックヤードの効率化、ネットワークの広がりへの施策は「これしかない」との思い込みがあります。
ところが、スケールメリットも、バックヤードの効率化も、ネットワークの広がりも、業務提携・連携・アライアンスによって実現することが可能です。なにも (持株会社や合併のように) 資本まで一緒にする必要はありません。
持株会社や合併では、金融機関同士での異文化の激突の中で、時間とコスト(機会費用も含む)が浪費されている多くの実例が証明している通り、資本を一緒にすることには相当の覚悟と大義が必要となるものと考えられます。
「これからの地域金融はダウンサイジングとアライアンスしかない」
先日、ある地域金融機関トップ (マイナス金利や人口減を言い訳にしない) からはっきりと言われ、我が意を得たりと嬉しく思いました。
今後、AIフィンテックの金融界への浸透が加速し、川上 (金融商品や金融サービスの開発分野) で大変革が起こる中で、しっかりと川下 (顧客との接点) を把握することが重要になってくるでしょう。
川下、すなわち顧客接点に磨きをかけることと、資本統合で組織を大きくすることとは逆相関の関係にありますが、これからは統合合併よりもダウンサイジングの方が正しい選択肢になるでしょう。
大きいことが良いのではなく、小さいことが良いこととなるのです。
言うまでもありませんが、ダウンサイジングにあたってはアライアンスが不可避です。
地域金融再編の潮目が変わりました。