日経新聞10/29の「メガ銀 大リストラ時代」という記事に衝撃を受けた人は多いのではないでしょうか。
3メガバンクで、何と3.2万人分の業務削減だそうです。
ただ、銀行業務はメーカーや小売業の目線で見れば、「まだこんなことをやっているのか」かもしれませんが。
当該記事には
「伝統的な商業銀行モデルはもはや構造不況化している。非連続的な変革が必要だ。」
とのメガバンクのトップの発言もあります。
確かに商業銀行の業務をアンバンドリングしていくと、業務のほとんどは大胆な効率化が可能であり、いわゆるAIフィンテックで代替できるものと考えられます。
地域金融機関の場合にも、バックヤード (システム、事務など) 、決済チャネル、プロダクトアウト型の単なる物売り業務などは、例外なくメガバンクと同様の抜本的な見直しが焦眉の急となっています。
バックヤードはアライアンス (業務提携、連携、共同化) によって、スケールメリットと効率化が実現します。
ますますスピードが要求される中、メンツの張り合いとポジション争いに明け暮れ、異文化の幅寄せにマンパワーと時間を浪費する持株会社型の統合や合併は正しい選択ではありません。
そもそも基幹システムや事務は、オール地銀で統一するぐらいの思い切った共同化が求められているのですが、当事者たちにそのような切迫感がまったく感じられないのは理解し難いところです。
地域金融機関がメガバンクと大きく違うのは、目指すべきビジネスモデルがリレーションシップバンキングであるということです。
行政当局へのアリバイ作りの仮面リレバンは問題外ですが、顧客密着の真のリレバンはヒトが行う最後に残された仕事です。
真のリレバンは、商業銀行業務を超越しています。
究極的には地域企業の支援再生も含めた「地域の課題解決業」となるのですが、これは規模との相関関係の高いものではありません。むしろ逆相関でしょう。
好調な業績を上げている某協同組織金融機関の経営者は「大きくなることは顧客接点が希薄になりリスクが高い」と言明しています。
この方のキーワードは「ダウンサイジングとアライアンス」です。
私もこれこそが正解と確信しています。
日経新聞10/29、斉藤惇さんの「私の履歴書」では、山一証券の破綻の話が書かれていました。
「問題の所在も、とるべき手だても明らかだった。運命に導かれるように破綻していった山一に欠けていたものは、ただ一つ。決断するということではなかったか。」
上記の通り、地域金融機関においても「問題の所在も、とるべき手立ても明らか」な状況にあります。
今後の盛衰は経営者の決断力にかかっています。
決断できない経営者は早々に去るべきでしょう。
地域のためにも、従業員のためにも。