11/17の商工中金あり方会議(第1回)をふりかえって、改めて商工中金への公的サポート(半官半民組織)の拠り所を「危機時の危機対応業務」とするのではなく、「平常時の民業補完機能」を商工中金の半官半民の拠り所として規定し直す必要があると強く思いました。
「平常時の民業補完機能」は、下記の具体的施策として、11/17の会議で主張しました。
→ ミドルリスク層(業況の芳しくないものの地域にとってなくてはならない事業者)への円滑な金融仲介や本業支援、
→ 中小小規模企業の事業再生、
です。
これらの分野は、民間金融機関が必ずしも真摯に取り組んでいるとは思えず、それどころかマイナス金利でますます疎かになっています。
これらの業務は地域金融機関の中で二極化が鮮明になっているのですが、二極化の中で真摯に取り組んでいる金融機関 (数は少ない) の方が実は収益性が高いのも事実です。
11/17の会議での二巡目の発言で触れましたが、弊害の多い長期借金漬け(中小零細企業向けは証書貸付が8割以上)を改め、「短期資金」と「本来の長期資金」と「資本性融資」とに組み替えたほうが高い金利を取ることができます。事業再生は労多く時間のかかる業務ですが、長期スパンでみればそれなりの対価へとつながります。
商工中金のミッションを「平常時の民業補完機能」と位置づければ、当面はX委員の主張されたダウンサイジング、民間がしっかりとやるようになればZ委員のおっしゃた「時間軸を持った消滅」、もしくは完全民営化という展開になってくるでしょう。
ただマジョリティの民間金融機関のだらしなさを見ると、この時間軸は相当長いように思います。この時間軸の中でかなりの数の地域金融機関が業況不振で退場するような展開も考えざるをえません。
いずれにしても商工中金の存立基盤が「(危機時になくてもよいような)危機対応業務をやらせるから半官半民」というロジックである限り、平時においても危機対応業務を悪用する可能性を打ち消すことはできません。
このあたりが第2回以降の主要論点となるでしょう。