新生商工中金の助っ人

昨日、商工中金在り方検討会議の第6回が行われました。

商工中金は80年の歴史の中で、商工組合系の中小小規模事業者とその関連企業、組合金融からの卒業生企業などに確固たる基盤を有しています。

こういうベースとなる顧客層への融資残高の減少と、厳しい収益環境 (公であろうが民であろうが共通) から、商工中金は危機対応業務に活路を見い出しました。

危機対応業務は国民の税金で下駄を履いた業務ですが、危機とはいえないような状況下 (デフレ対策、円高対策とか) でも使えるように改悪し、地銀などの顧客層の融資を奪い取る行動に出たのです。挙げ句の果てに書類改ざん (私文書偽造です)、それが組織的に行われたというのでは弁明の余地もありません。

新聞報道にある通り、昨日の会議では、完全民営化に向けて期限 (3~5年) を設け、その間は日本型金融排除に陥っているゾーン (ミドルリスク層以下) への金融仲介業務 (含む経営支援、事業再生) に徹底的に取組むべきである、との方向性が見えてきました。

危機対応業務という麻薬漬けから脱し、改心した上で、新たに日本型金融排除の撲滅に取組んでもらおうということです。

【ブルーオーシャンで顧客との共通価値創造 (CSV) 】

さて、この日本型金融排除のゾーンへの取り組みで、果たして収益が追従してくるのか。ここは検討会議のメンバーの中で意見が分かれるところです。

私は日本型金融排除の対象となっている顧客層にしっかりと向き合い、真摯にリレバンに取り組めば、間違いなく商工中金の収益につながってくるものと思います。まさに顧客と金融機関との共通価値の創造が起こると確信しています。

昨日の会議でも話したのですが、

一つは、地方銀行などの民間金融機関の多くが Lazy Bank に成り下がっていること。

もう一つは、東京などの大都市部で中小企業融資のシェアが高いメガバンクが、収益性の低い国内の中小小規模企業との取引に抑制的になっていること。

そのため中小小規模企業の融資市場には、債務者区分でいえば正常先の上位や中位を除けば、ブルーオーシャン (競合相手のいない領域) が広がっています。

【信用保証協会が助っ人に】

さらに加えれば、信用保証協会の新しい活動が、商工中金による日本型金融排除の撲滅への取り組みをあと押しするものと考えられます。

信用保証協会の方に話を聞くと、昨今、信用保証残高が急速に減少しているとのことです。その背景にあるのは金融機関が“既存”の信用保証協会の保証付き融資から保証を外す動きです。

結果として、既存の融資ポートフォリオの中で、保証付き融資残高は減少、プロパー融資残高が増加というシフトが起こります。

ところが、日本型金融排除の対象となる顧客層に対して、信用保証協会と協力して金融仲介を行おうとの動きは鈍いものと言わざるを得ません。

都道府県によってかなりの温度差はあるものの、信用保証協会は地域における日本型金融排除を撲滅したいとの思いは強いものと考えられます。ところが、肝心の金融機関がその気にならなければ、空回りするだけです。

実際にLazy Bankを横目に日本型金融排除の撲滅に向けて率先垂範をしている信用保証協会もあります。「融資をするのが目的ではなく、そこからの事業支援、財務支援こそが信用保証協会の役割だ」と断言する信用保証協会の人たちも少なくありません。

新生商工中金にとって、先進的な信用保証協会は強い助っ人となることは間違いありません。

ブルーオーシャンは LazyBank が心を入れ替えるまでの賞味期限です。完全民営化までの設定期間 (3年~5年) とLazy Bankの賞味期限、どちらが先か?

いずれにしても新生商工中金に求められるのは、顧客本位の組織的継続的なスピード感です。

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