昨日は商工中金のあり方検討会議の第3回でした。
メインテーマは「平時における民業補完」でしたが、その全容は森俊彦さん (もと日本銀行、日本動産鑑定会長) の30分のプレゼンテーションによって明らかにされました。
「ミドルリスク層への金融仲介、事業再生、(→事業承継)」です。
多くの民間金融機関が、本来やるべきこと (ミドルリスク層への取り組み、事業再生、→事業承継) に背を向ける ” Lazy Bank” に成り下がったために、商工中金には十分にビジネスチャンスがあります。
ミドルリスク層への取り組みや事業再生などは、地域の事業者サイドから見れば、官であろうが民であろうが、どこの金融機関でも良いから、とにかく手を差し伸べてほしいことです。(補助金のような目先のメリットよりも本質的なニーズです)
ただミドルリスク層へのコミットメントや事業再生は資本余力のある銀行でないとできません。
現在の商工中金の資本は7%台と脆弱です。
話は変わります。
私はこの6年ほど金融庁の金融機能強化法の審査をやっていますが、公的資金の注入行 (地域銀行13行あります) に求めていることの中核も「ミドルリスク層への資金仲介」と「地域企業の再生支援」です。
金融機能強化法の審査会では、その履行状況を半年ごとにしっかりとチェックし、3年ごとに経営強化計画を出してもらい、厳しく内容を吟味しています。
具体的には地元中小企業向けの融資ポートフォリオの信用コストとUL 数値の中身などを細かく見るようにしています。これらの数値が小さい注入行 (実際、機能強化法の公的資金を不良債権処理の後始末に充当する不届き者の銀行もあります) には「公的資金を地域のために使っていないのではないか。だったら返済すべきじゃないの」と厳しく追及しています。
ちなみに金融機能強化法の公的資金は15年以上のスパンで見ています。公的資金を早く返済すること (かつての早期健全化法時代の公的資金の発想) よりも、地元企業をしっかりと支えることを重視しているのです。
話を本題に戻します。
このように考えると
「商工中金が政府系であることは、金融機能強化法による公的資金を注入することと酷似している」
となります。
昨日の議論でもこの点を主張しました。大事なポイントだと思ったのですが、スルーされてしまいました。トホホです。
昨日の議論から明らかになったように (本日の日経新聞等でも取り上げられています)、商工中金の平時の民業補完業務は政府系金融機関でなくてもできるものです。
しかし、商工中金には資本余力がありません。
「だからすぐに完全民営化というわけにはいかない。資本余力ができるまで (金融機能強化法では15年超) は政府系。」
というのが私の立ち位置です。