将来に向けた健全性の確保

改めて、29年金融行政方針の中で一番キモとなるパートを読み返してみました。

「地域金融機関」の項での核となる 「① 持続可能なビジネスモデルの構築」の締めの部分にあたる、

「オ) 将来にわたる地域金融の健全性と金融仲介機能の発揮」

の箇所です。

長文ですが、書き出します。

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「持続可能なビジネスモデルが構築できていない金融機関に対しては、対話により自主的な経営改善を促しているが、金融機関において抜本的な改善策が講じられなければ、将来的に健全性が深刻な問題となる。地域の企業・経済に貢献していない金融機関の退出は市場メカニズムの発揮と考えられるが、他方、退出によって、金融システムへの信認が損なわれたり、顧客企業や預金者等に悪影響 が及ぶことは避けなければならない。このため、金融機関の健全性に関する早期是正のメカニズム、金融機能の維持や退出に関する現行の制度・監督対応に改善の余地がないかについても検討する必要がある。」
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現行の「金融機能の維持・金融機関の退出」の仕組みは、早期是正措置に代表される通り、金融機関の財務健全度 (過去から現在までの) を示す自己資本比率がバロメーターになっています。

「過去から現在までの健全性の確認」から「将来に向けた健全性が確保できるかどうか」へと行政の視点が変わるのですが、

肝心の地域金融機関が果たしてこの変化についていけるかどうか。。。

もちろん自身のこととして受け止めてもらわねば、自身が窮地に陥るのですが。

「過去から現在までの健全性 → 将来に向けた健全性」というメッセージには、地域金融機関の経営の視座を「B/SからP/Lに」シフトすべしとの含意があります。

この P/L は、資本に裏付けられた適正なリスクテイクに基づくものであり (リスク・アペタイト・フレームワーク)、何と言っても徹底した顧客本位のビジネスモデルによるものでなければなりません。

顧客との共通価値の創造 (CSV) です。

今まさに多くの地域金融機関が、来年4月の新しい中期経営計画の策定に向けて知恵を絞っているものと思います。

金融行政方針29年のメッセージをしっかりと受け止めたものが作り上げられることを期待しています。

そしてそれが実行されることを。

すべては経営陣にかかっています。


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