今週初、1月22日に宮崎信用金庫と都城信用金庫が合併し、宮崎都城信用金庫となりました。
本日現在、信用金庫の数は全国で261。
1998年3月末に401信用金庫があったことと比べてみると、改めてその減少ぶりに驚いています。
信用金庫と信用組合を協同組織金融機関と称しますが、その数が減少し、多くの地域で「我が町の信金信組」がなくなったのは非常に悔やまれます。
そもそも協同組織金融機関は、地域銀行と違って、中央機関が主導するバックヤード (システム、事務周りなど) のシェアードサービス (共同化) が効いています。
とくに信用組合の場合にはシェアードサービスの完成度が高く、コスト効果の大きいバックヤードで見ると、22兆円(業界全体の規模)のスケールメリットがあると考えられます。
昨今、ユニークな地域密着型金融で脚光を浴び、橋本卓典さんの新著にも登場する塩沢信用組合 (新潟県南魚沼市、小野澤理事長) は預金312億円、貸出167億円と小規模ですが、その効率性は合併後に総資産 8兆円超となる第四北越グループにも決して引けを取りません。
バックヤードのスケールメリットが効いているので、個別信金信組はたとえ規模が小さくても、身の丈にあった本来の稠密・深掘りの地域密着型経営を地道に行っていれば、急成長の可能性は少ないものの、余程のことがない限り、破綻に陥ることはないと思います。
地域顧客を熟知しているからこその、事業者への本業支援や財務面でのリスクテイク、個人顧客であれば真の意味での生活設計のお手伝いができるのです。何も地域銀行と同じことをやる必要はないのです。
稚拙なリスク管理体制のもとで、不動産融資や有価証券運用に安易に入り込み、そこで無茶をするから火傷を負うのではないでしょうか。経営者の問題ですね。
それに対し、地域銀行は、エリア内の核になる企業にはきちんとコミットしているものの、店舗展開にしてもマンパワーの面からも、地域顧客を狭域で面的にしっかりとグリップすることは難しいです。
そう考えると、日本型金融排除の撲滅のためには、地域銀行だけでは限界があり、信金信組の力が不可欠となるのです。
県内の協同組織金融機関のネットワークを見ると、しっかりしている地域がある一方で、協同組織金融機関が合併によって集約されてしまった地域があることも事実です。
前者の典型は静岡県、長野県、新潟県です。これらの地域ではかつて不動産融資や有価証券運用の失敗で再編に追い込まれた協同組織金融機関がほとんどなかったことが理由と考えられます。
「余計なお節介」との批判を覚悟の上で言いますが、地域銀行であっても (上場がネックになりますが)、その立ち位置 (トップバンクではないとか) によってはダウンサイジング (含む分割) も選択肢に入れるべきではないでしょうか。
協同組織金融機関に衣替えし、稠密深掘りのビジネスモデルを極め、バックヤードは業界全体でのシェアードサービスという形で、中小小規模企業の役に立つという生き残り策を目指すのは悪い選択肢ではないと思うのですが。
救済色の強い合併は別ですが、規模だけを追う協同組織金融機関には強い違和感があります。
もちろん例外はあるのですが、協同組織金融機関は規模が大きくなり、広域化すると、地域銀行の悪いところを模倣しがちです。
すなわち、規模が拡大し、広域化すると地域密着型金融の本質である稠密、深掘りのビジネスモデルが荒くなり、トランザクションバンキングのプロダクトアウト色が強くなる傾向があるようです。
このような協同組織金融機関では、日本型金融排除の撲滅を託すわけには行きませんね。