上場をレイジーの言い訳にするな?

遅まきながら橋本さんの新刊「金融排除」の広告が日本経済新聞に出ました。たちまち3刷だそうです。

すでにアマゾンの銀行・金融業ランキングで第1位と、定位置を確保していますが、日経の広告によって読者層が燎原の火のように広がることを期待したいものです。

さて、地域銀行の幹部と話すと、よく言われるのが、

「金融庁が“顧客本位の持続可能なビジネスモデル”というのは分かるが、成果が出るまで時間を要する。ところが上場企業である以上、短期的な収益 (ROEに代表される) を求める株主の意向が足枷になって、踏み切れない。」

ちょっと待ってください。

“顧客本位の持続可能なビジネスモデル”は、地域銀行の“経営理念”と同一ではないですか。

上場企業だからといって経営理念を曲げても良いのでしょうか。

もっといえば、顧客本位の持続可能なビジネスモデルを求める「金融行政方針」のベースにあるものは、銀行法第一条です。

銀行法の最初には、「国民経済の健全な発展に資することを目的とする」

と、はっきり書いてありますね。

上場企業だからと言って、銀行法第一条に反することをやって、自己中心のビジネスモデル (日本型金融排除もそうです) で、株主のために利益を上げていれば良いのでしょうか。

「上場会社の論理と銀行法第一条」のどちらが優先するのでしょうか。

とくに地域経済、地域社会を支える使命がある地域銀行の場合、答えは言うまでもありません。

見解の相違という逃げ道はないと考えるべきです。

さらに言うと、株式市場も短期的な収益を求めるだけの経済合理性を優先するわけではありません。

スチュアートシップコードの展開を見るまでもなく、昨今、中長期的な視点での持続可能性を重視する考え方が市民権を得てきています。その典型が ESG の考え方です。

株式市場を言い訳に使える賞味期限はあまり長くないことを、レイジーバンクの経営者は肝に命じたほうが良いかもしれません。

橋本さんの「金融排除」を読み返して、改めて感じました。


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