いくつかの地域金融機関の合併案件が進行しています。
そのうちの一つ、地域金融機関 X の現場の若手から、
「合併の発表はあったが、その後の進捗状況が現場にまったく知らされていない。」
「合併相手はどのような企業風土なのだろうか。営業現場ではどういうやり方をしているのだろうか。」
といった不安の声が聞こえてきました。
早速、数々の地域金融機関の合併に関わる経営コンサルティングを手掛けている H さんに聞いてみました。
多胡「合併までの進捗状況を、現場の職員に向けて、ニュースレターやブログのような形で発信した事例はあるの?」
Hさん「やろうとしたケースは1つある。でも単発で続かなかった。それ以外では、経営から現場に何も発信されなかった。」
言うまでもありませんが、合併で一番重要なことは現場の融和であり、そのための第一歩はお互いを知ることだと思います。
ところで、
地域金融機関 P と Q とは現在合併の手続き中ですが、イントラネットや冊子で、職員向けにさまざまなメッセージが頻繁に発信されているようです。
金融機関 P の女子職員が金融機関 Q の営業店に行って内部事務のやり方を聞いた訪問記や、逆に金融機関 Q の若手男子職員が金融機関 P の営業店を訪れてその店の職員と一緒にお客さんを回った経験談が書かれた小冊子を見ました。(コンテンツの企画編集のスタッフの中心は若手のように感じます)
これこそが冒頭の金融機関 Xの若手職員が求めているものだと思います。
経営の差ってこういうところなんでしょうね。
ほとんどの地域金融機関の統合合併案件を見るに、現場の職員との対話、お客様との対話が欠落しています。
十分に理解が進まないまま合併に突入、これでは先が思いやられます。
コメント
合併に伴う各種の統合作業はPMI(Post Merger Integration)と称され、ハード面(組織・業務・システム等)とソフト面(社員の融和)の双方がありますが、人心の機微が対象で、その成果も明快に計測できないだけに、後者の方がずっと難しいものです。
経営層が合併の大義やシナジー効果を懇々と説き続けても、それだけでは現場の融和剤にはなり得ず(就活生も企業理念だけで会社を選んでませんよね)、今後長くに渡って「同僚」として苦楽を分かち合っていくであろう現場の若手社員には、経営層とはまた違った目線感での触媒が欠かせません。
この手の情報発信となると、どうも仰々しく考えすぎる傾向があるようにも感じますね(特に金融業界)。我が社のクラブ活動や一芸を持った名物社員の紹介など、もう少しお互いのことに興味を持てるような、肩肘のこらない情報の継続的な発信が出来ないものでしょうか。
これまで何社かPMIのお手伝いをさせて頂きましたが、そこから得た教訓としては、ヒューマニズムが最も重要であり、そのためにもリベラルアーツはぜひ学んでおくべき、ということです。
Hさん、
さすが、フィールドワークの鬼、地域金融機関のPMIの第一人者の言葉は重いですね。
机上で数字合わせと綺麗なパワポを作るだけのエセ戦略コンサルタント(失礼!) とは違いますね。
旅芸人