昨日のブログ、プロダクトアウト型のソリューション営業の話をさらに深掘りします。
提携先(ほとんどが地域外) の商品サービスを地元顧客に斡旋する、提携先ありきのビジネスモデル(提携先とのCSV) は、大甘の採点をしてもリレバンとは判定できません。
こういうやり方には、地域金融機関としては手数料収入以上の展開がありません。
奥行きのないビジネスです。その上、優越的地位の濫用のリスクを内蔵しています。
一方、地元顧客の商品サービスの販売支援をするというビジネスモデル (地元顧客とのCSV) は単なるフィービジネス以上の大きな広がりがあります。
確認したい方には、橋本卓典さんの著書「金融排除」(幻冬社新書) をオススメします。
ここには、このビジネスモデルを推し進める豊和銀行 (本店大分市) の権藤頭取が、金融機能強化法の審査会で、審査委員 (多胡) とやりとりする場面が描かれています。
長くなりますが、該当箇所を引用します。
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多胡が権藤に提示した顧客への販路拡大支援による銀行のメリットとは次の通りだ 。
① 顧客の売り上げが増えて 、信用格付けが上がると 、回収できないと損失処理をしていた貸倒引当金が銀行に戻ってくる 。
② 銀行の手数料収入が増える 。
③ 顧客の増加運転資金 、新規の設備投資資金が生まれる 。
権藤は多胡の視線から目をそらすことなく答えた 。
「 ① 、 ③ 、 ②の順です 。手数料収入が最優先になってはいけません 。顧客満足度を優先します 」
権藤の確信に満ちた回答に多胡が頷いた 。
まずは厳しい先 、困っている顧客企業の売り上げの向上を支援し 、成長 ・回復に繫げる 。それによって銀行側に跳ね返ってくる引当金の戻し益 、新規の資金需要 、最後に手数料をいただくという発想だ 。
銀行の手数料が最優先では 、中小企業支援という金融機能強化法の精神にも反するからだ 。 「お客様の商品を売るということは 、お客様の事業を理解しなければできないことです 」権藤の発言は 、多胡を含め 、その場の金融庁幹部にも響いた。
=橋本卓典著「金融排除」(幻冬舎新書) より=
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日豊アライアンスの3つの銀行以外で、このようなビジネスモデルに本格的に取り組んでいる金融機関の活動はワタシの耳に入ってきていません。
それに対し、「提携先とのCSV」となると、多くの地域金融機関がすこぶる熱心?です。
レイジーバンクにとっては後者の方が与し易いことが理由なんでしょうね。
結局行き着く先はレイジーバンク思想。
いつも問題の本質は同じです。
コメント
M&Aでも同様のことが起ってるようです。
バイヤーを都会から連れてきて、うまく手数料は稼いだが、しばらくして、欲しいとこだけを都会に持ち帰り、地元はもぬけの殻になってしまった。