7月19日の日本経済新聞、佐藤隆文もと金融庁長官のインタビュー記事は、ポイントを突いた読み応えのある内容です。
周知の通り、佐藤さんは、2007~09年の金融庁長官在任中に、金融行政の質的向上 (ベターレギュレーション) を目指し、「ルールベースの監督とプリンシプルベースの監督の適切な組み合わせ」、「リスク・フォーカス、フォワード・ルッキングのアプローチ」などを打ち出しました。
まさに森金融庁の3年で実現したことの源流となるものが、佐藤金融庁の時代にすでに発信されていたのです。
=「(プリンシプルに基づく行政は) この数年で結実している。コーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)や顧客本位の業務運営の原則はすべてプリンシプルだ。尊重しないと結果的に自分が損をし、自助努力の結果が評価されて市場にさらされる仕組みも大事だ」=(同記事の佐藤さんの発言)
ワタシ自身、当時は第2次リレバンに関わっていたのですが、ベターレギュレーションの意味するところを十分に理解していなかったと思います。反省です。
また、遺憾ながら、地域金融機関の人たちも、金融行政に関わる人たちの多くも、その意味するところが分かっていなかったように感じます。
それから10年、森金融庁の3年間の地域金融改革によって、これらが具現化し、立派な“枠組み”が完成しました。
「“枠組み”は今後も普遍である。この“枠組み”のもと、どのように行政を展開していくかについては、継続的な改善を積み重ねながら取り組んで行きたい。」
これは今週行われた地域銀行の頭取例会での遠藤新長官の発言です。
いよいよ、“枠組み”の浸透と定着に向けての本番がスタートします。
=「地域金融の基本は地域に密着した金融機関かどうかだ。目利き力を発揮し、助言とセットで良いサービスを借り手に提供できていれば、本来はそれほど収益が落ちないはずだ。だが現実には貸出金利のダンピング競争を続け、担保・保証付きの融資ばかりしている。20年近く同じことを言ってきているが変わらない。金融庁もそろそろしびれを切らしてもよいのではないか。もっと危機感を持たせるために、市場メカニズムが働き、世の中から優劣が見える仕掛けが必要だ」= (同記事の佐藤さんの発言)
顧客本位とは口ばかりのレイジーバンクどもをあぶり出し、改心しなければ、存続できなくなるようなインフラストラクチャー (パブリックプレッシャーや、株式市場 〜 ESGがキーワードか 〜 のメガニズムか?) をどのようにすべきか、ワタシなりに本腰を入れて考えてみたいと思います。
コメント
今国会でレビック法の延長も可決されたし、いよいよ動き始めますね。