6月から商工中金の社外役員の仕事をしています。
2006年から2008年まで民営化を見越した政策評価委員会のメンバーを務めるなど、商工中金のことはそれなりに分かっているつもりでしたが、実際に中に入って見ると知らないことだらけ。
とくに商工中金の1936年創業以来の基盤となる「組合金融」についての知識不足は甚だしく、慌てて勉強をしています。
昨年11月から本年1月までの「あり方検討会議」においても、組合金融についての議論はほとんどありませんでしたが、商工中金の内部でも組合金融の存在感は相当に小さくなっているように感じます。
組合から卒業した中小企業が民間金融機関との取引に移行するなど、組合関係の融資残高が激減していることが大きな理由と思います。
とはいえ、小規模零細企業の抱える問題を放置していいわけはありません。
そもそも、生業ともいえる中小零細企業を面的に蘇生することは、地方創生の基本です。
しかるに、いまや増大する小規模零細企業の廃業問題に対し、地域金融機関が真剣に向かい合っているとは思えません。
小口ゆえに非効率、相応のM&A手数料なども見込めないことから、手付かず状態なのではないでしょうか。
ひとつの解決策は組合であり、組織化です。
小規模零細企業をバラバラではなく、組合というグループでとらえることで、事業再生、再成長、事業承継を考えることのできるのは商工中金だと思っています。
新生商工中金では、単なる融資残高という視点だけではなく、新たな組合金融、組織金融を打ち出す必要があると痛感しています。
言うまでもないことですが、商工中金は、商工組合の中央機関です。
原点に戻らねばなりません。
コメント
全く同感です。原点を認識するところから、未来は開けます。商工中金を上場会社銀行として論じてはいけないと思います。
新田さま、
コメント、ありがとうございます。
商工中金の新中期経営計画では、
「組合金融/組織金融の再構築 (事業再生、再成長、事業承継、廃業防止など) と、それによる地域の面的再生を商工中金が責任を持って担うべき」
ということをまずはメッセージとして出すべく、執行部門とは議論を重ねたいと思います。
組合金融/組織金融から地方創生という流れは、危機対応資金を出すことよりもはるかに国策と合致していますよね。
新田さんの地域密着型金融のビジネスモデル確立に取組む姿勢や行動力等を手本としている一人として、コメントの重みを感じます。現場で働く職人として多胡さん、新田さんの地域金融本質の発信を期待しています。