地方銀行協会に加盟する銀行64行の、2018年3月末決算数値を見ています。
一番気になるのはやはり貸出利息です。
64行ベースでの貸出利息収入額は平均で1.7%のマイナス、前年比で増加しているのは16行に過ぎません。
全般的に貸出金利の低下を貸出ボリュームの拡大でカバーするという、この数年、顕著に見られたパターンについに息切れ感が出ているように感じます。
結局のところ、貸出ボリュームだけでなく、リスクテイクの幅を大きくした地銀が貸出利息収入の伸びランキングの上位に並んでいるのでしょう。
さて、
このリスクテイクなのですが、地元融資のフィールドで信用リスクを積極的に取るという展開であれば、顧客情報もそれなりにあり、まだまだコントロール可能なものと考えることができます。
ところが昨今、国内中小企業融資に抑制的な姿勢をとるメガバンクからの斡旋案件であったり、金利やクレジットのデリバティブが内包されていることで表面金利の高い仕組み融資に取り組む場合には、リスク管理の手法が根本的に変わってきます。
こういう把握しずらいリスクを身の丈以上に取って(表面金利の高さに目が眩んで)、奈落の底に落ちた金融機関の数は、歴史上少なくありません。
昨今、仕組み融資が活況を呈しているとの話も聞こえてきます。
この傾向は地方銀行だけでなく、地域金融機関全般に広がっているものと思われます。
いつか来た「地獄への道」に再び戻っているのではとの怖さを感じています。
当たり前のことですが、リスクテイクなくして収益を上げることはできません。
いまこそ、地域金融機関として取れるリスクと、取ってはいけないリスクをしっかりと見極めるときです。
そしてリスクテイクが地域金融機関の経営理念に反するものであれば、失敗した時には決して許されるものではないことを、改めて経営者は肝に銘ずる必要があるのです。