伝統と革新の京都信用金庫

30数年前、米国でMMF (マネー・マーケット・ファンド) が台頭し、預金金利の自由化が叫ばれていたころ、日本でも証券会社と預金取扱金融機関がタイアップしたキャッシュマネージメント口座 (当時、「スウィング口座」という言葉も使われていたように思います、記憶に間違いがあるかもしれませんが) がデビューしました。

京都信用金庫の沿革を見ると、1984年4月に「京信資金総合口座CMA取扱い開始」とあります。

当時、ワタシは東京銀行のロンドン証券現地法人にいたのですが、自分自身が置かれている銀行と証券の境界線で、このニュースを驚愕を持ってとらえたのです。

金融自由化の夜明け前。金融行政はコテコテの護送船団方式。

金融自由化の流れを的確にとらえ、先見性を持ってチャレンジする京都信用金庫とは、どのような金融機関なのだろう?

榊田喜四夫という理事長さんは、どのような方なのだろう?

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本日の日本経済新聞に榊田喜四夫という名前が登場します。

「きっかけは1冊の本。『榊田喜四夫著作集3 信用金庫の将来』。喜四夫氏は榊田理事長の実父で、京都信金の第3代(1970~85年)理事長。本に感銘を受けた遠藤氏には、経営指標だけでは見えない『隠れた顔』があると映った。」(原文)

文中にある遠藤長官が手に取った榊田喜四夫さんの著作は、ワタシも読んだことがあります。

ちょうどリレバンの議論を行なっていた頃ですが、地域金融機関がやるべきことが明快に書かれていて、感銘を受けました。

「伝統と革新」です。

昨今、地域金融機関の“伝統”も大切にせず、時代の流れに先取りした“革新”の心もない経営者が多いのに絶望的な気持ちになっているのですが、榊田喜四夫さんの名前を見て、またやる気が出てきました。


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