10/25 の FIT 2018 特別セミナーに出席して、改めて「組織」というものを真剣に考えていかねばならないと思いました。
地域金融機関に「リレーションシップバンキングの取り組みは?」と問うと、ほぼ100%、「やっている」との回答が帰ってきます。
それでは「リレーションシップバンキングが組織的継続的か?」と質問を変えると「………..」。
実際、“組織的継続的”な取り組みを行なっている稀少価値ともいえる地域金融機関は、厳しい経営環境の中でも、顧客の支持を受け、着実に成果を出しています。
一方、属人的でイベント型のリレーションシップバンキングで、やったフリの地域金融機関は、「リレバンは儲からない」と言い切ります。
この差は「組織」の動かし方だと思います。
地域金融機関の「組織」はどうあるべきかが、今まさに問われているのです。
さて、
10月25日のセミナーでは、「地域金融機関の組織」という命題につき、明確な考えを持っている方たちが集結した感がありました。
新田信行さん (第一勧業信用組合、講演者) の「従業員幸福度と、それが作り上げるお客さまとのリレーションシップ・キャピタル」。
杉本康雄さん (みちのく銀行、講演者) の「戦略ミーティングによるグループ力の発揮」。
増田寿幸さん (京都信用金庫)からは、組織運営における勘所を教えていただきましたが、11月22日のセミナー「リレーションシップ・インパクト論」への期待が高まる話でした。
さらに、
この特別セミナーの席上、コーディネーターを務めた橋本卓典さんからは、「組織」というテーマで次回作を執筆中との話もありました。
おおおお
鋭い目線での現場取材力に定評のある、ベストセラー作家 橋本さんの「組織論」、早く読みたいものです。
コメント
コマンドコントロール組織からは、プロダクトアウトしか生まれません。組織の在り方が、お客様対応を決めてしまいます。
最近、事務手続きやマニュアルも捨てたくなります。(笑)
最近の講演では、いくつか考えるポイントを挙げています。いくつかありますが例えば、
■失敗の再定義です。初歩的な事務ミスはなくしたいですが、挑戦から得られるものは失敗ではなくフィードバックであるはずです。失敗の責任明確化かフィードバックの共有か。これ一つで組織は大きく変わります。
■もう一つは「フラクタルな把握」です。コンマ何ポイントまで計測しないとどうして物事の経営判断ができないのでしょう。「最近、お客様の目の色が変わった」、「最近、職員が本気になった」とは、何%から何%に上昇したのでしょう。かつては「私が言っているんだから信用してください」という一言で片付いた問題が、なんでもかんでも計測し、根拠が示せないならば認めないという風潮になってしまいました。そんなに根拠が欲しければ自分で行けばいいのです。結果、覚悟とか本気というものは、安易な根性論・精神論と同一視され、からかわれて市民権を失いました。これでは共感は育まれません。
経営が感じる「だいたい良くなっている」「なんだか顔色がみんな悪いな。嫌な感じがするが大丈夫か?」という感性こそ大切だと私は思います。
お客様が見ている窓の景色と、銀行員の窓の景色をどこまで同じにできるか、だと思います。そこで必要なのは、「コンマ何ポイントの根拠」なのでしょうか。
橋本さんのおっしゃる通り、経営者にとって感性は極めて重要な資質です。どの世界でも、第六感が働いて初めてプロだと思います。私は数字より自分の感を信じています。
かつて、私の地域金融の師匠は、
地域金融経営を新古典派経済学でやってはいけない、社会学の比重が高い、
と教えてくれました。
新古典派経済学で地域金融を語る人たちは、消えても消えても雲霞のごとく新たに出てきます。
疲れますが説明し続けるしかないですね。