10月17日のブログ「深刻な問題を抱えている銀行の『分かれ道』」で書ききれなかったことを補足します。
1年前に発表された 29年度金融行政方針、
「ビジネスモデルの持続可能性等に課題が認められる地域金融機関の中で、とくに深刻な問題を抱えている地域金融機関に対しては、バランスシートの健全性に大きな問題が生じていない今のうちに、検査を実施し、経営課題を特定した上で、 経営陣や社外取締役と深度ある対話を行い、課題解決に向けた早急な対応を促す。」(18ページ)
にワタシは拍手喝采しました。
これぞ金融庁が金融処分庁から金融育成庁へと変わる嚆矢となるものと、期待感を膨らませたのです。
この流れで、昨年後半から地域銀行に対するビジネスモデル検査が行われたものと考えられます。
ところが、この検査の然るべき総括が行われていない (少なくともワタシにはそのように見える) のは、残念と言わざるを得ません。
誤解を恐れずに言いますが、モニタリングと検査を行うサイドの力量が足りなかったため、成果につながらなかったのではないか、というのがワタシの推測です。非常に残念です。
ビジネスモデル検査を行う上で、数値に現れない重要なファクトの発掘分析能力と、対話のスキルは必要不可欠です。健全性のモニタリングのような過去の数値分析とは難易度がまったく違うのです。
行政サイドの質量レベルアップにより、深刻な問題を抱えている地域金融機関の育成を、改めて期待したいところです。
コメント
対話なき検査。。。機械人間による検査ですか。いっそ人工知能(AI)の方がマシ。恐ろしいですね。金融庁も一枚岩ではないということの証左ですね。
橋本さま
コメント、ありがとうございます。
「金融仲介のような答えのない対話を、検査命令下で行うのはおかしい」
という意見を持っている人間が金融庁の内部にいること自体、問題ありと思います。
「地域金融は経済学と社会学とのリベラルアーツ」と言われるように、「数値ですべて解決できる」と考える方々には理解できない世界だと思います。
新年度の金融行政方針のキーワードは「生産性向上支援チーム」「時間軸」「深度ある対話」の3つであると考えています。なかでも、地域金融にとって重要なのは「時間軸」であり、別の言い方をすると「我慢」いうことになるかもしれません。
答えの出ない対話を避けているようでは、答えは見えてきません。
考え方を改めてほしいものです。
多胡さん。金融庁職員の教育を一緒にやりましょう。少なくとも、共通価値の創造、リレバン、SDGsの教育はマストです❗