別れることも

北陸銀行と北海道銀行の経営統合から14年。早いものだと思います。

本日の日経新聞の記事では、統合効果が不十分という点が強調されています。

〜「両行で物理的な距離が離れているからこそ提案できることもある」。北陸銀の庵栄伸頭取は重複地域が少ない利点を強調する。北陸の企業から北海道で食品工場をつくりたいとの相談を受け、道銀と協力して建設にこぎつけるなど統合の成果は出ているという。(中略) 23年までにメイン以外の細かいシステムも2行で共有して「看板と受け付け以外は全部一緒にする」(道銀の笹原晶博頭取)(→ 同記事)

これらの話は別に資本を一緒にしなくても連携や業務提携でできることでありますが、株主の視点から見れば、資本統合した以上は効果を出せというのは当然のことでしょう。

ただ、

ワタシとしては、本件はバブル崩壊の中で、厳しい状況に追い込まれた地方銀行が、資本を統合して危機を乗り越えるという点にこそ大義があり、この経営統合ではすでに目的を果たしたものと考えています。

〜経営の安定性も高めた。バブル崩壊後に国から注入された公的資金を09年に完済。統合前の04年3月末時点の自己資本比率は北陸銀が8.1%、道銀が6.5%だったのに対して、18年9月末時点ではそれぞれ9.2%と9.4%に改善した。(同記事)

ですから、統合効果が不十分云々というのはオマケの話。

むしろ統合したことで、資本の面から不都合なことが色々と出ているのでは、と考えてしまいます。たとえば、片方の銀行の地元活性化のためにリスク資本を大量に使わなければならない時に、もう一方への配慮が働いて思い切った資本投入ができなくなるのではないかと懸念します。

このケースでは、統合効果の不十分さを追求することよりも、別れることを真剣に検討すべきではとの問題提起する方が適切だと思うのですが、いかがでしょう。

結婚・離婚と比べると金融機関の統合合併・分離が、はるかに難しいことは重々理解した上での意見です。

念のため。


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